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ストレスをはね返し環境に適応する記憶のチカラ

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「レジリエンス」(Resilience)とは、困難や脅威に直面している状況に対して、「うまく適応していく能力」を意味する言葉です。

 

注目されるようになったのは、第二次世界大戦下のホロコーストで孤児になった子どもたちを追跡調査している時だそう。

 

過去のトラウマから抜け出すことができずにずっと苦しんでいる元孤児がいる一方、トラウマを克服して充実した人生を送っている元孤児も存在することが判明したのです。

 

そんな両者の違いは、ストレスなどの外的圧力を撥ね返す復活力や、逆境や困難に押しつぶされることなく環境に順応していく適応力にあることが分かりました。

 

この「適応力」や「復活力」や「回復力」が、レジリエンスの本質といえます。

 

コロナ禍のような予測不可能な日常の変化は、多くの人々にとって辛いものですが、等しくネガティブな経験をしていたとしても、レジリエンスの強さには個人差があり、ダメージの受け止め方は様々です。

 

喪失感に駆られストレス関連の病気を発症する人もいれば、不安をコントロールして気持ちを切り替え状況に適応できた人もいます。

 

両者の違いはどこから生じていたのでしょう?

 

研究によれば、レジリエンスの強さは生まれつきでなく、筋トレのように鍛錬可能だそう。

 

サマリーをシェアします。

 

2021年 スイス チューリッヒ大学のパーシュ・クリスティーナ博士を筆頭著者とする、自己効力感を示す過去の出来事を思い出すことでレジリエンスを高め、ネガティブな気分を切り替える効果を検証した研究結果が発表されました。

 

研究には健康な75名の成人が参加しました。

 

まず、参加者に個人的に経験したネガティブな過去の記憶を思い出してもらい、その時の感情属性を記録しました。

 

続いて、参加者を2つのグループに任意に振り分け、一方には、自己効力感を示す過去の出来事を思い出してもらい、他方には、楽しかった過去の記憶を思い出してもらいました。

 

最後に全員に、個人的に経験したネガティブなイベントを再度思い出してもらい、初回との感情属性の差分を記録しました。

 

結果、次のようなことがわかりました。

 

1、楽しかった過去の記憶を思い出した人のレジリエンスは、さほど改善しませんでした。

 

2、困難に上手く対処できた過去の状況を思い出した人はレジリエンスが高まっており、このテクニックは克服した困難が大きければ大きいほど効果を発揮しました。

 

3、困難な状況を克服したという記憶は「自己効力感」を高めるのに役立ちます。

 

4、「自己効力感」(Self-efficacy)とは、レジリエンスの重要な要素であり、「自分には少なからず物事に影響を与える能力がある」という認知のことを指します。

 

5、自分の能力を信じることができなければ、そもそも何もチャレンジすることはできません。

 

6、人は、自己効力感を通して、自分の思考、感情、行為をコントロールしているのです。

 

7、過去の個人的な課題をどのように克服したかを振り返ることは、ネガティブな経験を処理するのに役立つと言えます。

 

8、自己効力感が高まるような記憶を積極的に思い出すことは、コロナウイルスの時代にも役立つ可能性があります

 

出典:APA PsycNet

 

https://doi.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Femo0000949

 

 

つまり、楽しかった過去よりも、自分が何かを成し遂げた過去を思い出す方が、レジリエンスが強化されるということ。

 

遊園地で楽しく遊んだとか、高級レストランでディナーを楽しんだとか、それらは良い経験に違いありませんが、自分の能力を試したわけではありません。

 

これに対して、難関試験に合格したとか、大勢の前でプレゼンを成功させたなどは、個人的な能力を発揮できた経験と言えます。

 

辛い時このような、自分で自分を誇らしく思える経験を思い出せるかどうかが、レジリエンスの強い人と弱い人との差になっているのだそう。

 

親としてはもちろん子どものレジリエンスを高めたいわけですが、考えさせられます。

 

本人が情熱を持って必死で努力し成し遂げたという成功体験が必要ですから、親がサポートしすぎるのは考えもの。

 

子どもが自分で夢中になれるものを見つけて懸命に努力するのが理想です。

 

本人にとって成功と思える結果が出せたら、それは強力なレジリエンスの源となって、生涯子どもを支えてくれることでしょうから。

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