どうすれば幸せな大人になれるのか?ということは、子育ての大きな課題です。
そもそも親だって、よくわかっていなかったりします。
心理学の研究で、気前のよい人は幸福度が高まることを調べた実験があります。
サマリーをシェアします。
2017年、ドイツ リューベック大学のソヨン・パク博士を筆頭著者とする、気前の良い行動と幸福度に関わる脳神経メカニズムについての研究結果が発表されました。
まず実験の参加者50名に、主観的な幸福度について質問しました。
次に参加者全員に毎週25スイスフラン(日本円で約3,000円)ずつ、合計100スイスフラン(日本円で約1万2,000円)を配ると伝えました。
続いて参加者を2つのグループに分けました。
1つ目のグループの参加者には、そのお金を友人へのプレゼントや知人との会食など、他人の為に使うことを誓約してもらいました。
2つ目のグループの参加者には、そのお金を欲しい物や趣味のアクティビティなど、自分の為に使うことを誓約してもらいました。
更に、参加者の脳の活動をMRIで測定しながら、気前のよい行動についての選択肢を選んでもらいました。
その後、参加者全員に自由意思でお金を使ってもらい、毎週末にお金の使い道を電話で尋ねました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、1グループは2グループに比べて、実際に気前のよい行動を選択した人が多く、幸福感がより増加していました。
2、1グループの人たちは、「気前よくします」と公にコミットしただけで、実際にお金を使っていないうちから、脳内で幸福度を高める変化が起きていました。
3、幸福を感じるには、大盤振る舞いをする必要はなく、「ほんの少しだけ気前良くしよう」と思うだけでも、脳神経に幸福度を高める影響を及ぼしていました。
4、実験中に気前のよい行動をした人は、そうでない人と比べて実験終了後の幸福度が高い傾向にありました。
出典:Nature Communications
https://www.nature.com/articles/ncomms15964
「幸せ」という目で見えないものについて、本人の主観でなく、脳神経の変化を測定したところが科学的です。
一般的に、幸福感が高いからこそ気前が良くなると思われがちです。
ところが実験では「気前良く行動します」と事前に約束するだけで幸福感が増していたのです!
しかも、ほんのちょっとの気前の良さだけで、幸福度が上昇していました。
「気前の良い行動をする」と決めるだけで脳神経に影響を与えるなんて、普段から何を考えているかが大事ですね。
また、他人を喜ばせるという行動が脳にも影響を及ぼし、幸福感が増すような働きを強めていたとは驚きです。
幸せだから他人のために行動できるのではなく、他人のために行動することが幸福感を増やしていたのです。
まずは自分が、ちょっとした親切を遠慮しないようにします。
親が幸せで気前が良ければ、子どもも幸せですから。
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