スパイ映画などで、相手の嘘を見破って命拾いするような、手に汗握るシーンがでてくることがあります。
スパイ養成学校では、相手の嘘を読み取る訓練があるという話も出てきますが、それって本当なんでしょうか?
心理学の研究では、嘘を見破ることはとても重要であるにもかかわらず、人は自分が思っているほど嘘を見抜く能力がないことが明らかになっているそうです。
スパイ映画の夢が壊れてしまうようで残念ですが、嘘を見破れるかどうかは嘘をつく人の特徴に大きく依存していて、判断者の嘘を見破る能力にはあまり関係がないことを示す証拠が増えつつあります。
では、嘘をつくのが上手な人は、バレないようにどんな戦略を立てているのでしょう?
研究のサマリーをシェアします。
2019年、オランダ マーストリヒト大学のブリアンナ・ベリギン博士を筆頭著者とする、嘘をつくのが得意な人に焦点を当て、彼らが誰に対してどんな嘘をつくのかを調べた研究結果が発表されました。
研究で、194人(女性97名、男性95名、性別回答拒否2名)の一般人を対象としたアンケートを実施しました。
対象者に、自分は嘘をつくのが上手いかどうか? 日常でどれくらい嘘をついているか? 嘘を本物っぽく思わせるためにどんな戦略を用いているか? などを質問しました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、過去24時間以内に嘘をついた回数を尋ねると、ほとんどの人は0〜2回と回答しましたが、参加者の1%にも満たない6人が、全体の38.5%を占める大量の嘘をついていました。
2、これらの大量に嘘をつく人達は自分のことを、嘘をつく能力が高く、巧みに人を騙すことができると考えていました。
3、また、嘘をつく能力が高いと自己申告した人は、個人的利益のために実験課題で不正を行う傾向が高くなりました。
4、嘘をつくのが下手だと自己申告した人のうち、70%が女性で、30%が男性でした。
5、これに対して、嘘をつくのが上手だと申告した人のうち、62.7%が男性で、37.3%が女性でした。
6、嘘をつくのが下手だと自己申告した人は、嘘をつく際、意図的に曖昧にしたり、特定の詳細について話すのを避けたりしてごまかそうとしていました。
7、これに対して、嘘をつくのが上手いと自己申告した人は、真実の中に本当っぽく嘘を混ぜ込むことや、他人が疑いにくいシンプルな話題の中に嘘を潜ませることを得意としていました。
8、嘘をつくのが下手だと自己申告した人は、見知らぬ人や権力者に嘘をつく傾向が高く、親密な関係にある人へ嘘をつく頻度は低くなりました、
9、これに対して、嘘をつくのが上手いと自己申告した人は、嘘をつく相手に制限がなく、友人、家族、同僚、恋愛相手など親しい人にも頻繁に嘘をついていました。
10、嘘をつくのが下手だと自己申告した人は、嘘をつく媒体について偏りは見つかりませんでした。
11、これに対して、嘘をつくのが上手いと自己申告した人は、文字よりも対面で嘘をつくことを好み、ソーシャルメディアなどではほとんど嘘をつかないことがわかりました。
12、これまでの研究は、真実を語る人の発言が記憶の痕跡から引き出されるのに対し、嘘つきの発言は想像から作られるという仮定に基づいていました。
13、しかし今回の研究で、上手な嘘つきは過去の真実の経験の記憶を利用しているため、嘘を見破る難易度が上がっている可能性が示唆されました。
出展:PLOS ONE
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0225566
よく、「女は嘘が上手」などと言われますが、この研究によれば、意外にも男性の方が嘘が上手な人が多いとのこと。
人類の歴史が始まって以来、上手に嘘をつけた男性が優秀な子孫を残せたという説もあるようですが、どうなんでしょう?
それより、嘘が上手な人は言葉の操り方が巧みなだけでなく、バレないための様々な戦略的工夫を凝らし、嘘の難易度を上げていたことが衝撃です。
確かに、事実の中に少しの嘘を意図的に混ぜられたら、見破るのは至難の技でしょう。
困ったことに、このアンケート結果についても、嘘つきな人が嘘の回答をしている可能性を否定できないということになってしまいます。
研究者達は、この研究結果を元に、嘘を見抜くインタビュー方法を開発できないかと考えているようです。
でも、もしそれで嘘を見抜くスキルが上がったとしても、それに対抗して相手もどんどん嘘を上達させていったら、いたちごっこになってしまいそう。
それに、いちいち人の話を疑ってかかるって、結構大変ですよね。
可能であれば、嘘をつかない誠実な人とだけ、大切な関係を築いてゆきたいものです。
↓いいね を押していただけますと励みになります。