接客業のお仕事では、自分の好き嫌いや感情よりもお客様のお気持ちが優先になります。
本当は嫌であっても、調子が悪くても、そんなことは一切表に出さず、自然な笑顔で優雅に対応するのは当然です。
CA時代の私にとっては、それがプロの証であり、プライドでもありました。
でも、仕事とプライベートは別ですので、ちゃんと頭を切り替えなくてはなりません。
もしプライベートでも、仕事同様、相手の気に入ることを先回りして考えてしまうと厄介です。
つい相手を喜ばせようとして、本心と違うことも言ってしまうようになります。
辛くても「大丈夫です。」と、ニッコリ微笑んでしまったりするのです。
すると、自分の行動も変えざるをえなくなり、徐々に周囲の人からも「大丈夫な人なんだ」と認識されてゆきます。
次第に自分らしく生きられなくなって、疲れてしまいます。
これ、CAに限った話とは思えないのです。
なぜなら、子育てをしていて、社会人として、母親として、親戚として、ママ友として、PTA役員として、様々な人間関係と立場に応じ、瞬時に頭を切り替えていくのは、CA時代以上に複雑ですから。
時と場合によっては、相手を傷つけず人間関係を円滑にするために、ネガティブな本音をあえて封じることも必要な配慮ですよね。
ところが研究によれば、正直に話すことで相手を傷つける可能性は、想定より低いとのことです。
サマリーをシェアします。
2018年、アメリカ シカゴ大学のエマ・レヴァイン博士を筆頭著者とする、正直な物言いが及ぼす影響の予測と、実際に及ぼした影響との差分を調べた研究結果が発表されました。
研究の参加者は、無作為に3つのグループに振り分けられました。
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グループA:思ったことを正直に言う(ただし、不親切でも意識的でもない)
グループB:優しく親切に会話する
グループC:意識的に感情や要望を言葉で伝える
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そして3日間、日常生活でのすべての人とのすべての会話において、グループごとにそれぞれ1つの会話パターンに集中してもらうことにしました。
実験前、グループAの人達に、正直な発言でどんな影響があるかを予想してもらいました。
実験終了後、グループAの人達に、正直な発言で実際にどんな影響があったかを回答してもらいました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、実験前、グループAの人達は、人間関係への悪影響を予想していました。
2、ところが実際は、想定していたよりも快適で、人とのつながりが深まり、人間関係への悪影響は想定よりも小さいものでした。
3、人間関係への悪影響は、相手に対するネガティブなフィードバックを正直に伝えた場合であっても、想定よりも小さいものでした。
4、正直に話すことで人間関係にはほとんど悪影響がないにもかかわらず、人は正直に話すことで起こるであろうネガティブな反応を、過大評価していることがわかりました。
出典:Journal of Experimental Psychology
https://doi.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fxge0000488
私たちが、本音で話すべきかどうか頭を悩ませる理由は、相手を傷つけ、人間関係に悪影響を及ぼすと考えているからです。
でも、研究では、それは誤った思い込みとのこと。
もちろん、言いたい放題に他人を誹謗中傷するなどは論外です。
しかし、本音で話すことによる悪影響は、私たちが想定しているよりもずっと小さいそう。
実際のところ、自分の意に反したことを言わなくてはならない時は、意外とストレスが溜まるものです。
それにもかかわらず我慢してしまうことって、誰だって経験しているのではないでしょうか。
率直な物言いがそれほど悪影響を及ぼすわけではないと分かっただけでも、気持ちが軽くなるようです。
物分かりの良い大人を演じ過ぎて自分を削ってしまわないよう、気をつけたいですね。
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