思春期の子ども達って、親や親世代に対してとても辛辣です。
親を年寄り扱いし、聞く耳を持たないこともしばしばですが、子どもだって生きている限り、やがては年を取り、親と同じくなるのです。
そんな紛れもない事実を、彼らはどうしてあんなに都合よく忘れることができるのでしょう?
実は、加齢に対する認識が最も歪んでいるのは、若者世代なのです。
研究のサマリーをシェアします。
2018年、アメリカ、ミシガン大学のウィリアム・J・チョピック博士を筆頭著者とする、年代別の加齢についての認識を調査した研究結果が発表されました。
研究では、2006年9月から2015年12月までの期間、アメリカのインターネット回答者502,548人を対象に、寿命に関する認識(何歳まで生きたいですか?)や、発達段階の移行時期の推定(何歳から高齢者になると思いますか?)等について回答してもらいました。
回答者の年齢は10歳から89歳で、教育水準の中央値は大学卒業程度でした。人種は白人69.3%、ヒスパニック9.8%、アフリカ系アメリカ人7.7%、アジア系7.2%、混血・その他6.1%でした。
調査の結果、次のようなことがわかりました。
1、「何歳まで生きたいですか?」という質問について、10-20代は90歳、30-40代は88歳、50-60代は90歳、70-80代は92歳と回答しました。
2、「何歳から大人になると思いますか?」という質問に対しては、全世代で20歳前後と回答していて、年代別の差異はありませんでした。
3、「何歳から中年になると思いますか?」という質問に対して、10-20代は30代後半、30-40代は40歳、50-60代は40代前半、70-80代は40代後半と回答しました。
4、「何歳から高齢者になると思いますか?」という質問に対して、10-20代は60歳、30-40代は65歳、50-60代は70歳、70-80代は75歳と回答しました。
5、高齢者になればなるほど、高齢者とみなすタイミングを遅い年齢にシフトさせ、相対的に自分自身を若いと感じていました。
6、人は歳を重ねるごとに、自分が到達した年齢が思っていたほど老いていないことに気づきますが、若い頃はそれがわからないので、加齢に対して偏った認識を持っている若者が多いと考えられます。
出典:Frontiers in Psychology
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2018.00067/full
つまり、思春期の子ども達にとっては、親世代の30代や40代はすでにオジサン、オバサンで、50代は老人期の入り口に見えているということ!
「理由なき反抗」に理由があったとは…。
ですが、そんな若者たちも、自分自身が歳を取るにつれて、次第に老いへの認識が変化してゆくのです。
これはアメリカでの調査結果なので、文化の違う日本にそのまま当てはめることはできないかもしれません。
しかし、思春期の子供たちにとって、親は自分たちとは懸け離れた、話の合わない遠くの世代に見えているのというのは十分あり得る話です。
思春期の子どもに親の意見を伝える際には、まずその思い込みを外すべく、歩み寄る必要がありそうです。
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