幼少期〜思春期は、脳はまだ発達の過程にあり、日常でのストレスやそれに伴うネガティブな感情とうまく付き合うための方法を学習していきます。
しかし、幼少期に慢性的に強いストレスを経験した人の中には、強烈すぎるマイナス感情やネガティブ思考にうまく対応できず、通常とは違う手段に頼ることもあります。
その結果、感情が不安定だったり、対人関係が苦手だったり、生きづらさを抱えたりするようになってしまいます。
このような症状は、境界性パーソナリティー障害との診断がつく場合があります。
これは寛解傾向のあるパーソナリティ障害で、効果的な治療法もわかってきています。
最近は治療法だけでなく、原因も研究されつつあります。
サマリーをシェアします。
2019年、イギリス、マンチェスター大学のC・ポーター博士を筆頭著者とする、子供時代のトラウマと、境界性パーソナリティ障害との関連を調べた研究が発表されました。
この研究では、5,000人以上を対象とした、42の研究結果をまとめました。
その結果、次のようなことがわかりました。
1、境界性パーソナリティ障害と診断された人の71%が、少なくとも1つ、幼少期のトラウマを経験していることがわかりました。
2、彼らが経験したトラウマの内容は、最も多い順に、ネグレクト、精神的な虐待、身体的な虐待、性的虐待となっていました。
3、境界性パーソナリティ障害の人は、他の精神疾患グループの人と比較して、幼少期の辛い体験を報告する割合が3倍になっていました。
4、子供時代の辛い体験は、境界性パーソナリティー障害になるリスクを13倍も高めていました。
5、境界性パーソナリティ障害と、子供時代の辛い経験との関連が示唆されました。
6、境界性パーソナリティ障害と診断された人の治療には、子供時代のトラウマケアを考慮することが重要であると、明らかになりました。
出典:Acta Psychiatrica Scandinavia
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/acps.13118
境界性パーソナリティ障害は、そもそも、精神疾患ではなく、不安障害や抑うつ障害でもない、中間的な精神疾患を指す言葉だったそうです。
見た目ではわからないけれど、深刻な生きづらさを抱え生きている人がいます。
子供時代の辛い経験を調べた研究で、ネグレクトが最も多く挙がっていたことには、考えさせられます。
忙しい毎日、つい子供の気持ちを後回しにしてしまうことって、多々あります。
傷ついている子どもの気持ちって、大人の目には見えないもの。
親から見ればほんの些細なことであっても、淋しく思っているであろう子どもの気持ちに気を配りたいものです。
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