「健康心理学」(health psychology)という研究分野があります。
健康の増進&維持、病気の予防&治療などに対して心理学の領域を活用しようとするものです。
例えば健康のためにジムに通い始めても、定期的な運動を長く続けられる人と、途中で挫折してしまう人に分かれますが、その違いはどこにあるのでしょう?
研究のサマリーをシェアします。
2015年、アメリカ アイオワ州立大学のアリソン・フィリップス氏を筆頭著者とする、習慣化を成功させるために必要な要素を調べた研究結果が発表されました。
研究には、「期間中に週2回、20分以上の運動をする意思がある」と自己申告した、大学生87名と教職員36名の、合わせて123名が参加しました。
全体の約25%がBMIの値が肥満で、約4%が全く運動習慣がなく、約50%に何らかの定期的な運動の習慣がありました。
参加者は、1ヶ月間、身体活動と毎日のスケジュールの記録をつけ、1ヶ月後、オンラインの質問票に回答しました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、参加者は、2種類の習慣を報告しました。
〔誘引習慣〕運動を始めるきっかけとなる合図を設定している
〔実行習慣〕どのような運動をどれくらい行うか決めている
2、人々が習慣化を成功させられるかどうかは、誘引習慣の強さが決め手になりました。
3、誘引習慣の合図は人によって異なり、朝、起床直後に運動する人もいたし、夕方、勤務終了後に運動する人もいました。
4、その日に行う運動の種類に関わらず、誘引習慣がある人は、深く考えたり、メリット・デメリットを考えたりすることなく、運動を始めることができました。
5、一方、実行習慣は、運動の習慣化とは殆ど関係がありませんでした。
6、このことから、良い運動習慣を作るためには、どのような運動をするかではなく、何をきっかけに運動を始めるかの合図に注目すべきだと考えられます。
出典:Health Psychology
https://doi.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fhea0000249
殆どの人が始めることはできても、続けることができません。
継続できず、途中で挫折してしまう理由は、「何をやるか」を細かく決めるから。
そうではなく「いつやるかを示す合図」を決めるのが習慣化のコツだそう。
実際、ジムで行うべきトレーニング内容は気にしますが、ジムへ行くように促す合図の自動化って、見落としがちな気がします。
習慣化のための合図は人それぞれですが、毎日一定の時間にアラートを設定しておくとか、起床直後や仕事帰りなど、タイミングを決めておくと、習慣化に成功しやすいといえます。
こうして意思の強さに頼らず、自動的に生活リズムに組み込んでしまえば習慣化って半分は成功したようなもの。
例えば私は毎晩歯磨きしながら鏡の前でスクワットしているのですが、これだと歯磨きを忘れることはないので習慣化は容易です。
別の研究で、習慣化には3週間ほどかかると言われているので、およそ1ヶ月間は意志のチカラも必要です。
ですが1ヶ月継続できれば、毎日のルーティーンとして自動化されますので、もう面倒に感じることもありません。
いかに負担を軽くできるかって、習慣化のポイントですね。
↓いいね を押していただけますと励みになります。