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反発することを避けられない私たち

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この世に生きている私達の脳には、多くの情報が入り込んできますが、私達はそれを意識的に無視することはできないことが、研究で分かっています。

 

サマリーをシェアします。

 

2018年、アメリカ ミズーリ大学のサブリナ・バンガル氏を筆頭著者とする、環境中の刺激が、人間の意思決定に及ぼしている影響を調べた研究結果が発表されました。

 

研究には、サンフランシスコ州立大学の学生34名(女性22名、男性12名、平均年齢23.6歳)が参加しました。

 

実験には、刺激を高めるために輝度を最大にしたパソコンを使用しました。

 

まず、パソコン画面上に、「図形の数を数えないでください」と文字で表示されました。

 

続いて、様々な図形が複数個並んだ72パターンの配列が、パソコン画面上に順次表示されました。

 

図形を見る毎に、「数を数えてしまったかどうか?」等の質問に回答してもらいました。

 

結果、次のようなことが分かりました。

 

1、指示に全力で従おうとしていたにも関わらず、参加者の90%が無意識のうちに図形の数を数えていました。

 

2、この結果は、私たちの脳が、私達が考えているよりもずっと外界からの刺激に敏感で、無意識のうちに意思決定と行動の両方に影響を及ぼしていることを表しています

 

3、無意識に指示に逆らってしまうという私達の性質は、人をコントロールすることがいかに簡単であるかを示していると言えます。

 

出典:Frontiers in Psychology

 

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2018.01017/full

 

 

心理学で用いられる、「心理的リアクタンス」(reactance)という用語があります。

 

選択の自由を外部から脅かされたときに、自由を回復しようとする反発作用のことです。

 

確かに私達は、他人から何かを命令されると、無意識のうちに反発したくなるもの。

 

私のCA時代の経験でも「誰にも言わないでね」などと口止めされた内緒話ほど、すごい勢いで全世界に広まって、「CAの噂話は光通信より速い」という不名誉な名言が生まれたりしていました。

 

(注:ダイヤルアップ時代の話です。)

 

たとえそれが自分にとって有益なことでも、反抗したくなってしまうのですから困ります。

 

例えばダイエット中に、「お菓子を食べてはダメ」と注意されると、それが自分の為になると判っているのに、無意識のうちに反抗してお菓子を食べたくなるのです。

 

研究者達は、この反発作用を巧みに利用することで、人を操ることができてしまうと警鐘を鳴らしています。

 

例えば子どもに、「もっと勉強しなさい!」と言い続ければ、本当は勉強好きな子どもでも、反発させて勉強嫌いに誘導することができるのですから、恐ろしい。

 

人は自分の自由が制限されたことに反発し、自由を回復したくなるのですが、無意識の行動なので、自分でコントロールするのは難しそう。

 

せめて、「心理的リアクタンス」を自覚することで、無意識の反発心と上手に折り合っていければと願います。

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