躾としての「お尻叩き」は、何十年、何百年も前から世界中で一般的に行われている子育ての方法であり、子どもにとって有害ではなく、悪い行動を改めるのに役立つという根拠に基づいていました。
2014年のユニセフの報告書によると、世界中の80%もの子供が「お尻叩き」を受けた経験があるとのこと。
一般的に躾としての体罰と身体的虐待は別物だと考えられていますが、研究によれば「お尻叩き」は虐待と同レベルのダメージを及ぼすそう。
サマリーをシェアします。
2016年、アメリカ テキサス大学オースティン校のエリザベス・T・ガーショフ博士を筆頭著者とする、子供の頃にお尻を叩かれたことのある大人を対象に、長期的な影響を検証した研究結果が発表されました。
この研究では、160,927人の子どもを対象とした過去50年分の研究論文が分析されました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、「お尻叩き」は、わずかに程度が低いだけで、身体的虐待と同じような悪影響を子どもに及ぼしていました。
2、お尻を叩かれれば叩かれるほど、子どもは親に反抗し、親子関係は悪化し、反社会的行動、攻撃性が増加しました。
3、お尻を叩かれた回数が多いほど、子どもの脳の発達やメンタルヘルスに悪影響を及ぼし、自尊心や認知能力の低下を引き起こしました。
4、子供の頃に「お尻叩き」を受けた大人は、自分の子供への体罰を支持する傾向が強く、このことは、体罰に対する考え方が世代を超えて受け継がれていることを示しています。
出典:Journal of Family Psychology
https://doi.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Ffam0000191
親が「お尻叩き」をすると、子どもの攻撃的な行動が増える理由としては、親が殴るのを見ることで、子どもは殴ることが許容される行動であり、許される罰のスタイルであることを学んでしまうからだと考えられています。
そのため、例えば他の子どもを叩くのをやめるように仕向ける目的で「お尻叩き」をすることは、罰の方法として効果がないばかりか、実際には裏目に出てしまうそう。
更に「お尻叩き」は身体的な痛みを与えるため、子どもに恐怖心や混乱を与え、親が伝えようとしているルールやメッセージを子どもが学ぶのを妨げてしまいます。
「お尻叩き」をはじめとする躾のための体罰は、子どもの悪い行動を変えるための効果的な戦略ではなく、子どもの幸福に長期的なダメージを与えてしまうのですから恐ろしい‥。
このようなことが科学的に解明された今では、親が一切子供を叩かないことが推奨されています。
ですが、自分の親に「お尻叩き」で躾られた私達世代には、受け入れられない人もいるかもしれません。
残念ですが人間の子どもの成長と比べて科学の進歩はゆっくりしていて、私たちの親世代では判らなかったことが研究により次々に明らかになりつつあります。
私達の子ども達が子育てをする頃には、きっと今よりも更に多くのことが解明されてゆくでしょう。
私たちにできることは、過去の間違いを批判することよりも、よりよい親になるために、最新の科学を利用すること。
親である私たちがより多くのことを学べば、より良い子育てができるようになり、世代を重ねるごとに子どもたちにより良い結果をもたらすことができるはずですから。
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