子どもの反抗期や受験期を支えるのは、ひとり親であってもなくても大変ですから、支える親の方が先に精神的に参ってしまわないよう、十分気をつけなくてはなりません。
ところが、ストレスを抱えた人がいると、その人の側にいる人の脳も同様のダメージを受けるとの研究があります。
サマリーをシェアします。
2018年、カナダ カルガリー大学のトニー・リー・スターリー博士を筆頭著者とする、ストレスを感じている人と接触することで、そのストレスを直接受けたのと同じように脳の神経回路やシナプスが変化することを調べた研究結果が発表されました。
研究では、オスとメスのペアのマウスによる実験が行われました。
ペアの片方に、軽いストレスを与えた後、パートナーの元へ戻しました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、ストレスを受けたマウスは、警告フェロモンを放出してパートナーにストレスを伝達させました。
2、すると、ストレスを受けたマウスも、直接ストレスを受けなかったマウスも、脳内神経回路やシナプスに同じ変化が見られました。
3、これにより、他の人の経験やストレスが、私たちには理解できない形で伝わり、私たちの脳に変化を起こしているのではないかと考えることができるようになりました。
4、このような相互作用はメスのマウスがストレスから立ち直るのに役立ち、ダメージを受けた神経細胞は約50%回復しました。
5、一方、オスのマウスでは、この相互作用は役に立ちませんでした。
6、マウスが受けたストレスは、複数のマウスに順次伝達されて行くことも確認できました。
8、今回の研究は、私たちが人間らしいと思っている特徴が、進化論的に保存された生物学的特徴であることを示しています。
出典:Neuroscience
https://www.nature.com/articles/s41593-017-0044-6
マウスの研究ですから、人間と全く同じと決めつけるのは早計かもしれませんが、実際に心的外傷後ストレス障害(PTSD)を持つ人の家族が、ストレスを直接受けた本人と同じ症状を示すことがあるそう。
驚いたのは、メスのマウスの場合、ストレスを順次伝達していく中で、少しずつダメージから回復して行くのに対して、オスのマウスの場合には、その効果が見られなかったということ。
ずいぶん不公平ですけど、そうやって古来より男性は女性のメンタルをケアし続けてきたと思うとカッコイイですね。
現代でも、家族の誰かが強いストレスを抱えている場合、そのストレスを家族みんなで分け合って支えていることがあるのかもしれません。
家事を手伝ったりすることと比べると、目に見えないから理解されにくいですが、家族のストレスを黙って肩代わりするというのも、ある意味、優しい愛のカタチと言えますね。
私自身の経験では、受験生の子どもが攻撃的になって手に負えなかった時期がありました。
「最近、子どもの様子がおかしいです。家でいつも怒っていて反抗します。学校で何か問題はありませんか?」
と、思いあまって子どもの学級担任に相談したことがあります。
「進路に悩む時期にはよくあることです。周りの友達に頼りたくても、周りも同じように苦しんでいるので、一番甘えられる存在である家族にストレスをぶつけてしまうのです。ここが本人の頑張り時でもありますので、どうか支えてあげてください。もちろん学校としても全力で導いていきます。」
という力強い言葉をいただいて気持ちが随分楽になりました。
この時は、子どものストレスを母親である私が引き受けて、それを更に担任がサポートしてくれて、実家の祖父母も応援してくれて、みんなでちょっとずつ支え合って乗り切れました。
特にひとり親やワンオペ育児だと、子どもが頼れるのは自分一人しかいないと思い込みがちです。
けれど、ストレスを抱えた子どもを助けるべく頑張りすぎて自分を削らないよう、他の誰かにも協力を仰ぎチームで支えて行くのもポイントだと思うのです。
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