毎日忙しくマルチタスクをこなしている人ほど、生産性を高めることが人生の究極の目的であり、何か大きな目的に役立っていなければ時間を無駄にしていると考えがちです。
しかしこのような考え方を持つ人は、精神的な健康状態が悪く、余暇を十分に楽しめていない可能性が高いそう。
研究のサマリーをシェアします。
2021年、アメリカ ラトガース大学ビジネススクールのガブリエラ・N・トニエット助教授を筆頭著者とする、余暇を時間の無駄と考えるデメリットについて調査した研究結果が発表されました。
調査のうちの一つは、ハロウィンの過ごし方について尋ねるもので、302名が参加しました。
参加者に、今年のハロウィンをどのように祝ったか、そしてどの程度楽しんだかを尋ねました。
また、余暇を無駄だと思うかどうかの質問に対して5段階評価で回答してもらいました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、余暇は無駄で非生産的なものであると思う傾向が強い人ほど、幸福度が少なく、ストレスや絶望のレベルが上昇していました。
2、余暇は無駄で非生産的なものであると信じている人達にとって、ハロウィンパーティー自体はあまり楽しいものではありませんでした。
3、しかし、トリック・オア・トリートで訪れた子ども達にお菓子を渡すような、大人としての「責務」を果たす余暇活動については、彼らも高く評価していました。
4、このように、余暇に何らかの生産的な目的があると考えることができれば、余暇を時間の無駄だと思っている人も、そうでない人と同じくらい余暇のメリットを得ることができました。
5、「余暇は時間の無駄である」との信念は幸せを遠ざけてしまいますが、これを「余暇はより大きな目標達成のための一部である」と捉え直し、感じ方を変えることで克服できると言えます。
6、余暇に対する否定的な見方は、心身に驚くほどのダメージを与え、人々は最も単純な方法でさえも楽しめなくなってしまいます。
7、余暇を取ることはストレス軽減やうつ予防に重要なので、余暇時間を無駄と考えて休まない人に対しては、考え方を変えることが精神疾患の予防になると考えられます。
出典:Journal of Experimental Social Psychology
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0022103121001013?via%3Dihub
余暇を非生産的な無駄時間と考えると、ストレスやうつのレベルを高め、幸福度を下げてしまうということですから大問題と言えます。
しかし、余暇は時間の無駄と考える傾向は日本でこそ顕著で、特にワーキングマザーをしていると、余暇時間なんて滅多にお目にかかれません。
私たちは時間に追われる毎日を過ごす中、生産的であることがいかに重要であるかという同じメッセージを繰り返し吹き込まれています。
私自身、時短家事や時短家電のノウハウを集めては効率化に余念がありませんし、会社で仕事をしていても、生産性アップは常に課題です。
ですがこの研究によれば、余暇は無駄であるという考えを心に刻むと、どこに住んで何をしていても憂鬱になり、幸せを感じられなくなることが示唆されています。
私は職場で新入社員研修も担当していて、効率化の説明もするのですが‥。
何だか研修内容を否定された気分です。
その原因は、余暇を無駄で非生産的なものとする間違った捉え方だそうですから驚きです。
ですから、余暇を「思い切りリフレッシュすることで心身のコンディションを整えて生産性をアップするために必要な休息時間」のように定義し直せば良いのです。
そうすることで余暇に罪悪感を持たずに楽しめるようになると、心身の健康に多くのメリットをもたらすそう。
今までの常識を覆されるようですが、確かに納得ですね。
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