心理学には性格を「外向性」・「開放性」・「誠実性」・「協調性」・「神経症性」の5つに分類する「ビッグファイブ理論」という考え方があります。
これまでの研究では、「外向性」・「開放性」・「誠実性」・「協調性」のスコアが高い人は普段から活発で運動を習慣にしやすいとされてきました。
つまり運動嫌いになるか運動好きになるかは、その人の生まれ持った性格によると考えられてきたのです。
ところが最近の研究で、アクティブな行動習慣があるかないかで、性格が良くも悪くも変化することがわかりました。
サマリーをシェアします。
2018年、フランス モンペリエ大学のヤニック・ステファン氏を筆頭著者とする、身体活動の習慣が精神面に及ぼす長期的な影響を調べた研究結果が発表されました。
研究者たちは1990年代にアメリカのウィスコンシン州で行われた、1957年に高校を卒業した人とその兄弟姉妹を対象にした大規模調査と、全米から40-50代の希望者を募った大規模調査に注目しました。
どちらの調査でも、参加者は性格テストを受け、健康状態や生活習慣に関する質問に回答していました。
約20年後、研究者達が当時の参加者に再調査を呼びかけたところ、およそ9,000人が参加しました。
彼らに前回と同じ性格テストを行い、同時に健康状態や生活習慣の調査も行いました。
参加者の行動習慣データと、20年という時間の経過によって彼らの性格がどのように変化したかを分析したデータをもとに、両者の相関関係を調べました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、あまり体を動かさずに過ごしてきた参加者は、元々の性格や健康状態の違いを考慮しても、ビッグファイブと呼ばれる性格特性のうち、「外向性」・「開放性」・「誠実性」・「協調性」の4つの特性が平均して大きく低下していました。
2、そのため、座りっぱなしの生活を長年続けていると、新しい経験を受け入れることができなくなり、勤勉さや社交性が失われ、ますます運動嫌いになるという、悪循環にはまる可能性があります。
3、運動不足は、長期的に見ると身体だけでなく精神にも悪影響を及ぼしており、特に、20歳以降の人格形成に大きく関連していました。
4、その反対に、運動の習慣を長く続けた人は、過去と比較して「外向性」・「開放性」・「誠実性」・「協調性」の4つの特性のスコアが上昇していました。
5、こうした変化は長期間にわたって蓄積されるため、長い目で見ると普段の行動量が性格を変化させていると言えます。
6、今回の分析結果は、性格は生涯を通じて変化しやすいという考えを強調するものであり、性格が健康と関連していることを示唆しています。
出典:Journal of Research in Personality
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0092656618300175
性格って、努力と根性で変えてゆくものだと思っていたのですが、なんと、運動によって変えられるのだそう。
つまり、日々アクティブに過ごせば次のような性格特性が高まるとのこと。
「外向性」=他人とのコミュニケーション力
「開放性」=新しいものに興味を示す好奇心
「誠実性」=物事にコツコツ取り組む真面目さ
「協調性」=人とチームを組む時に必要な共感力
これらは、一般的に加齢とともに衰えるとも言われていますね。
そう考えると毎日子育てでバタバタ忙しく行動量が多いのは、ちょっとは若返りの役に立っているのかも。
その反対に、オフィスで毎日座りっぱなしの会社員生活が少々心配になりますね。
最近は在宅ワークも増えてきていますが、そんな時こそなるべく身体を動かすよう心がけたいものです。
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