ビッグデータとは、一般的なデータ管理・処理ソフトウエアで扱うことが困難なほど巨大で複雑なデータの集合を表します。
そんなビッグデータを活用することによって、数十年前には不可能だった社会的で大規模な研究が行われるようになりつつあります。
サマリーをシェアします。
2020年、イスラエル バル=イラン大学のデイビッド・M・グリーンバーグ博士を筆頭著者とする、音楽の好みは気分やセンスだけでなく、アーティストの個性に大きく影響されることを証明した国際的な研究結果が発表されました。
研究者達は、ポール・マッカートニー、ボブ・ディラン、エルトン・ジョン、ホイットニー・ヒューストン、ローリング・ストーンズ、ビヨンセ、コールドプレイ、デイヴ・マシューズ・バンド、マルーン5、テイラー・スウィフト、オジー・オズボーンなど、欧米で最も有名なアーティスト50人の人物像を分析し、歌詞の内容を調べました。
今回の研究では、アーティスト本人の実際の性格ではなく、公に認知された性格や世間的な人物像を測定しました。
また、8万人以上を対象とした調査で、どんな性格特性を持つ人が、どのアーティストのファンなのかを調べました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、人は、自分の性格と似たような人物像のアーティストの音楽を好んでおり、アーティストの人物像と、ファンの性格には強い関係性が見られました。
2、今回の調査結果は、音楽の好みが社会的、心理的、グループ的な力学に左右されることと、音楽がファンに誇りと帰属意識を与えることを示しています。
3、今回の研究成果をメンタルヘルスに応用すれば、ストレスや不安を感じている時、自分の性格特性と似ているアーティストの音楽を聴くことで、共感やつながりを感じることができます。
出典:Journal of Personality and Social Psychology
https://doi.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fpspp0000293
なんと、自分の好きな音楽について、音楽性そのものが好きだというのは理由の半分で、残り半分はアーティストの性格が自分と似ているからだそう。
研究者達はこれを、「音楽の自己一致効果」(Self-congruity effect of music)と名付けました。
最近は「ファンダム」と呼ばれる、アーティストの熱心なファンによる応援活動コミュニティが社会現象となっていて研究者達の注目を集めています。
もちろん私も興味津々で、ファンはアーティストの音楽だけでなく人物像にも惹かれているとの考察は合っている気がします。
確かに、アーティストの人物像と似たような性格特性の人がファンになっているということは、ファン同士がとても気が合って団結するのも当然ですね。
そういえば私の上司は某デスメタルバンドのファンなのですが、彼らは怖い外見と歌詞に似合わずとても優しいそうですので、きっと上司も優しい性格なのでしょう。
また、子どもが好きなアーティストの人物像がわかると、子どもの性格や好む世界観を理解することができそうですね。
このビッグデータの研究が進めば、将来的には好みの音楽を回答するだけで自分の性格特性や相性が判定できるテストなども生まれそうで楽しみです。
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