子育てママとのおしゃべりで良く話題になるのが「ウチの子は恥ずかしがり屋で将来が心配」というもの。
性格は、親からの遺伝と育った環境の両方が作用していると言われているので、子どもの性格に親として責任を感じてしまうようです。
大勢の人前で話すと緊張したり、初対面の人と会うのが苦手だったり、恥ずかしがり屋だったりは普通のことですし、大抵は場数を踏むことで自然に振舞えるようになってゆくもの。
ですが他人が見ている状況で、何か失敗して恥をかくのではないかという過度の緊張や恐怖を抱き、次第に人と会うことを避けるようになると「社会不安障害」(Social anxiety disorder)と診断される場合があるそう。
単なる恥ずかしがり屋との違いは、恐怖心が強すぎて社会生活に相当の苦痛が伴う点です。
しかし一緒に暮らす家族にだけは強く自己主張できる場合が多いため、家族はそこまで本人が苦しんでいるとは信じられないことも多いそう。
中高生時代に発症することが多いのですが、本人にも家族にも病気という認識がないと、ずっと1人で悩み続けてしまいます。
親として、どんな性格の子どもが社会不安障害を発症しやすいのかは把握しておきたいですね。
サマリーをシェアします。
2019年、ポーランド SWPS社会科学人文大学のバクタ・パトリク氏による、社会不安症になりやすい性格特性を調べた研究結果が発表されました。
研究では、人の性格は5つの要素の組み合わせからなるとする「ビッグ・ファイブ理論」が用いられました。
これは人間の基本的な性格特性を表すものとして統計的な検証がなされた指標で、次の5つがあります。
「外向性」(Extraversion)社交的で好奇心旺盛
「神経症性」(Neuroticism)気分が落ち込みやすく心配性
「誠実性」(Conscientiousness)責任感があり真面目
「協調性」(Agreeableness)他者への思いやりがある
「開放性」(Openness)知的、文化的な好奇心が旺盛
ビックファイブ性格特性診断では、5つの特性に善悪はなく、どの特性が高いか低いか、それが普段のコミュニケーションの中でどう反映されているか、などを学術的な尺度で診断していきます。
研究には、18歳から50歳までの135名が参加し、人格特性の測定を行いました。
それから1か月間、彼らを追跡調査し、1ヵ月後に自身の性格や社会不安の症状について尋ねました。
研究者は、人格特性単独ではなく、特性を相互に組み合わせたときの影響を分析しました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、当初、「低い外向性」&「高い神経症性」の組み合わせがもっともリスクが高くなると想定されていました。
2、しかし実際には、「低い外向性」&「高い開放性」の組み合わせが、もっとも社会不安のレベルが高くなりました。
3、この相互作用は、社会不安に対するサポートが必要な性格を示していると言えます。
出典:The Journal of Psychology
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00223980.2019.1581723
なんと、「人見知りで心配性な、自分の世界に閉じこもるタイプ」よりも、「寂しがりやで好奇心が強く、新しいことにチャレンジするタイプ」の方が、社会不安症のリスクが高いのだそう。
確かに、未知の世界に飛び込んだら良くも悪くも刺激を受けますから、内気な性格だったらキツいでしょうね。
こういうタイプの子どもって、友達から何か頼まれるとたとえ嫌でも上手に断れず、何とかしようと頑張ってしまったりしますから、親としてちゃんと目配りしたいものです。
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