最近は日本の若い世代にも増えつつあるといわれる薬物依存症には、覚せい剤、大麻などの違法薬物依存だけでなく、市販薬や処方薬などの薬物依存も含まれるそう。
そしてその治療は困難だとされています。
元々、患者本人にはストレスなどの不快な精神状態があり、薬物使用によってそこから逃れられるメリットを頻繁に感じたことが依存症の原因になっているからです。
そのため、研究者たちは心理学の面からも解決策を探ろうとしています。
サマリーをシェアします。
2019年、アメリカ マサチューセッツ総合病院のベティーナ・B・ホエップナー博士を筆頭著者とする、幸福感を高める治療ツールとしての、心理学的エクササイズの効果を検証した研究結果が発表されました。
研究には、現在または過去に薬物乱用を経験し、回復途中であると自己申告した531人の成人がオンラインで参加しました。
参加者に次の心理学的エクササイズのうち一つを無作為に割り当て、実行してもらいました。
〔A〕幸せな瞬間を捉えた自分の写真を見て、その当時に関する簡単な説明文を書く
〔B〕昨日を振り返り、良かった出来事を二つ書き留めて、感謝する
〔C〕昨日を振り返り、達成出来た事、今後の課題、明日への期待をリストアップする
〔D〕昨日を振り返り、達成出来なかった事を三つ書き留める
それぞれのエクササイズの所要時間は平均4分ほどで、93%の参加者が日常生活の一部として行うことができると回答しました。
また、エクササイズを始める前後に幸福度のテストを行ってその数値を比較しました。
結果、次のようなことが分かりました。
〔A〕は、最も大きく幸福度が向上しました。
〔B〕は、2番目に有効でした。
〔C〕は、3番目に効果がありました。
〔D〕は、激しく幸福度を減少させました。
1、〔A〕〔B〕〔C〕のエクササイズは、一日たった4分と活用が簡単な上に、治療中の幸福感を高揚させるのに役立ちます。
2、しかし〔D〕のエクササイズはマイナスの効果をもたらしました。
3、今回の調査結果は、回復に伴う困難をポジティブな経験で補うことの重要性を示しています。
4、薬物依存からの回復は困難が伴いますが、それに耐えて努力を持続させるためには、途中で達成可能なポジティブな経験が必要なのです。
出典:Journal of Substance Abuse Treatment
https://www.journalofsubstanceabusetreatment.com/article/S0740-5472(18)30334-9/fulltext
なるほど。
薬物依存症治療の辛さについては知る由もありませんが、普通に暮らしていたって誘惑に負けて途中で挫折することって一杯あります。
そんな、長期の継続が必要な上に困難なタスクを継続するには、モチベーションの維持が重要で、過去の成功体験の記憶を思い出していい気分になることが最も効果的とのこと。
そう言えば私が学生時代のテストで、設問に答えた後にテストの感想を記述せよというものがありました。
もしそこで「頑張ったけど、今回も〇〇がダメでした。」のように出来なかったところに注目して記述するのは、〔D〕のエクササイズにそっくりで、非常によろしくないということになりますね。
親として、子どもの成績などをチェックする時もありますが、子どものやる気を削がないよう、〔A〕〔B〕〔C〕のエクササイズのような対応を心がけたいです。
私が受験生の時、良い結果の模試の成績表だけを机の前に貼り「私はできる!」と思い込んで頑張りましたが、出来たことのみ意識したおかげで、途中で心折れず頑張れたのかもしれません。
相性が良いようならば、心理学を活用して子どものモチベーションを保つのもアリだと思います。
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