「今が幸せ」って思えるかどうかって、一体、何が決め手になっているのでしょう。
目に見える訳でもないし感じ方によりますので、幸福度を自分でコントロールするなんてちょっと無理な気がします。
ところが研究により、心理的な幸福度はトレー二ングで高められることが分かったそう。
サマリーをシェアします。
2020年、アメリカ ウィスコンシン大学のコートランド・J・ダール博士を筆頭著者とする、自身の努力により心理的な幸福感を育むことができるメカニズムを調べた研究結果が発表されました。
研究者達は、83カ国、5,000人以上を対象としたウェルビーイング研究、認知心理学、神経科学、臨床心理学の研究結果を分析しました。
人々の幸福度を高めるために、努力で改善できる分野に焦点を当て、訓練可能な心の資質を調べました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、人は平均して起きている間の47%を、気が散っている状態で過ごしていました。
2、気が散っている状態では、幸福度が低下し、不安症、注意欠陥多動性障害、うつ病など、さまざまな心理的な悪影響とも関連していました。
3、また、行動量の低下や、ストレスに起因するホルモンの変化や、身体的な不調とも関連がありました。
4、そのため、気が散っていることに自分で気がつき、注意を現在の活動に戻す能力は、学業成績から自動車の安全運転まで、現実世界の様々な成果にプラスの影響を与えると言えます。
5、加えて、心身に生じる感情的な手がかりに気がつくこともできるため、感情のコントロールにも重要な役割を果たします。
6、つまり、この能力は、身体的な健康、精神的な健康、心の幸福度に重要な影響を与えるのです。
7、この能力を改善できる4つの資質と、それらを伸ばす方法は次の通りです。
①「気づき力」:環境や身体に意識を向け、感覚に気を配る
②「繋がり力」:優しさと思いやりを経験する
③「洞察力」:自分の意見に好奇心を持ち、自分の思い込みを疑う
④「目的力」:自分のやる気と存在価値を理解する
8、この4つの資質は、自分の気が散って心が彷徨っていることを認識し、注意を現在の活動に戻すことを可能にし、幸福度を高めることができます。
出典:Proceedings of the National Academy of Sciences
https://www.pnas.org/content/117/51/32197
なんと、人は起きている時間の半分弱を、何か他のことに気を取られたり、目の前のこととは違うことに意識を飛ばしたりして過ごしているそう。
確かに、集中できない事って、それが何であれ疲れるし、時間も余計にかかってしまいます。
そんな気が散っている状態が、幸福度を下げているばかりでなく、心身の健康状態にもダメージを与えていたとは驚きです。
幸福度を高める方法について、様々な研究が進んできていますが、中でも今回突き止められた4つの資質は、いずれも本人の努力で改善が可能とのこと。
これらをトレーニングして「心ここにあらず状態」を改善する事ができれば、心身共に健康になり幸福度がアップするそう。
しかもその方法は、専門家によるカウンセリングなどの支援は必要なくて、自分の心がけ次第というものばかり。
ポジティブな感情や集中力を高め、ストレスや気が散っている状態などの精神的にダメージを与える習慣を減らすことができるそう。
振り返れば、私自身が相当うわの空な少女でしたが、当時こういう知識があったなら、もうちょっと勉強ができたのかもしれないな、なんて今更ながら思います。
特に子どもの場合、心配事があってもそれを上手に言葉にできず、心がふわふわと彷徨っていることって、割とあると思います。
せめて、今の時代を生きる子ども達には、今思うことや感じていることについて大人達から問いかけて、今ここにいる意識を高められるよう促したいものです。
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