物事や事態の成り行きを良い方向に受け止めるのか、それとも悪い方向へ考えるのかは、人間関係でよく話題になります。
このような楽観主義者と悲観主義者は、両極端の性格特性と言えます。
一方、この2つの中間に位置するのが現実主義者と考えられていて、現実の事態に即して物事を処理しようとします。
一般的に、楽観的な性格の人は明るく前向きで他人に好かれやすく、幸福度が高そうに見えます。
ところが研究によれば、楽観主義者よりも現実主義者の方が、総合的な人生の満足度が高いのだそう。
サマリーをシェアします。
2020年、イギリス ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンスのデイヴィッド・デ・メザ教授を筆頭著者とする、個人の信念と総合的な人生の満足度との関連を調べた研究結果が発表されました。
この研究では、イギリス家計パネル全国調査のデータをもとに抽出された1,601人のイギリス人を18年以上にわたって追跡調査しました。
毎年、参加者に総合的な人生の満足度と精神的な健康状態を報告してもらいました。
また、1年前と比較した現在の財政状況と、今から1年後の財政状況の予想を答えてもらい、それを18年間の実際の財政状況と比較しました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、楽観的であれ悲観的であれ、誤った期待を持つ人は現実主義者よりも総合的な人生の満足度が低い結果になりました。
2、最も楽観的な人は、現実主義者と比較して幸福度が13.5%低くなっていました。
3、彼らは物事をきっと上手くいくと前向きに考えますが、長期的に見ると、最善を想定することで得られる期待感よりも望んだ結果にならない失望感のほうが勝っていました。
4、最も悲観的な人は、現実主義者と比較して幸福度が21.8%低くなっていました。
5、彼らは常に最悪の事態を恐れていて、物事が予想以上にうまく行くことで得られる幸福感を、恐怖心が上回っていました。
6、不正確な信念に基づいた思い込みは判断を誤らせ、論理的で現実的な計画よりも良くない結果をもたらすため、楽観主義者と悲観主義者の両方の幸福度を下げてしまいます。
7、長期的な人生の満足度を高めるために、もっとポジティブになろうと日々努力する必要はありません。
8、それよりも大事なのは、自分の将来に対して現実的になることと、証拠に基づいた適切な決断を下すことです。
出典:Personality and Social Psychology Bulletin
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0146167220934577
楽観的な人って幸せそうに見えますが、期待外れで失望することも多いそう。
長い目でみたら現実をしっかり受け止めて論理的な決断ができる人こそが幸せな人生を手に入れているとのこと。
実際、「きっと大丈夫そうな気がする」との楽観的な期待が外れたら、落胆してしまいます。
そうは言っても「失敗したらどうしよう‥」と、悲観的に考えて守りに入ってばかりでは、いずれ立ち行かなくなってしまうでしょう。
正しい情報と知識に基づいて慎重にリスクを取る現実主義者が、長い目で見た場合に最も満足度が高くなるとは納得ですね。
何か決断をする際には、正しい情報を基にバランスの取れた判断をしていきたいものです。
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