心理学的な考え方では、私たちが使う「幸せ」という言葉には、意味が2通りあるそうです。
いわゆる「幸福」(happiness)とは感情的なもので、一瞬だけで長く続かない幸せも含まれます。
確かに、恋のときめきってステキだけれど、一生ドキドキが止まらないのは困りもの。
それに対して、「ウェルビーイング」(well-being)とは、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることです。
満たされた状態であるウェルビーイングは持続する幸せと考えられていて、最近の心理学の研究論文では、こっちの方が頻出です。
ウェルビーイングの考え方だと、ロマンチックな恋愛だけが愛ではなく、人との親密な繋がりやちょっとした関わりも、幅広い意味での愛であり、末長く続く幸せの源になります。
そんなウェルビーイングの高め方を調べた研究があります。
サマリーをシェアします。
2020年、アメリカ ペンシルバニア州立大学のジータ・オラヴェチ博士を筆頭著者とする、日常の些細な関わりに注意を払うことで、ウェルビーイングや楽観性が向上することを調べた研究結果が発表されました。
研究には、212人が参加しました。
4週間にわたって、1日6回、スマホにメッセージが送られ、その瞬間に感じている誰かからの愛やウェルビーイングの状態について報告してもらいました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、愛を感じる気持ちには、かなりの個人座があり、これらの個人差は精神的なウェルビーイングと性格的な特性の両方に関連していることが分かりました。
2、一日のうちに「愛を感じる」瞬間が多い人は、精神的なウェルビーイングが高いことが明らかになりました。
3、その反対に、「愛を感じる」瞬間が少ない人ほど、精神的なウェルビーイングが低くなっていました。
4、ところが日が経つにつれて、参加者は自分の生活の中の小さな愛や人との絆により細かく気が付くようになりました。
5、実験に参加し、愛や絆の瞬間に気づいて報告するよう言われたことで、参加者の感性が高まったのかもしれません。
6、日常の中の小さな愛を感じ取れるよう意識するだけで、愛に対する前向きな意識が全体的に高まる可能性があります。
7、日常生活で愛を感じる感覚を高めることで、より愛に満たされるかもしれません。
出典:Personality and Individual Differences
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0191886919305525?via%3Dihub
日常に感じられる愛とは、身の回りのさまざまな人から得られる愛のことです。
例えば、家族が健康状態を気遣ってくれたり、友人に素敵な褒め言葉をもらったり、同僚から心のこもった感謝の言葉をもらったりすることが挙げられます。
このような広い意味での愛に気づくことで、楽観性や生きがいの向上につながるそう。
もし自分には大した価値がないと思っていても、実際には大勢の人から愛されていて、そのことに本人が気づいていないだけかもしれないのです。
たとえそうだったとしても、愛について意識することで、感受性が高まってゆくそうですから大丈夫。
日常に沢山ある幸せの源を、スルーせずちゃんと見つけていきたいものです。
そんな時、お手本になるのはやはり子ども達。
だって、ぬいぐるみや草むらの蝶々や空に浮かぶ雲とも簡単に友達になれて、会話していたりしますから。
無邪気に愛を感じ取れる子供達から、大人が学ぶことって、思うより沢山ありそう。
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