子どもにお金で苦労して欲しくないとは、親なら誰もが考えることです。
その一方で、「収入と幸福感は比例しない」とか、「幸せはお金で買えない」なども昔から言われているので気になります。
大事なのはお金の有無よりも幸福の有無なのは勿論ですが、では子どもにどうやって幸せになるお金の使い方を教育すればいいのでしょう?
心理学者達は、世の中には、幸せになるお金の使い方と、幸せにならないお金の使い方があることを突き止めました。
研究のサマリーをシェアします。
2020年、アメリカ テキサス大学オースティン校のアミット・クマール助教授を筆頭著者とする、お金を払って購入した物を使う時と、お金を払って体験したことに参加する時の、幸福度を比較した研究結果が発表されました。
研究には、2,635人の成人が参加しました。
参加者は起きている間、ランダムにスマホにメッセージが送られ、「今」の気分を尋ねられました。
また、過去1時間の間に、使用する物を購入したか、あるいは体験的なことにお金を払って参加したか、を尋ねられました。
その質問に「はい」と答えた人には、次の5つの質問をしました。
①仕事目的か遊び目的か?
②自分のためか他人のためか?
③自由に選んだか義務で選んだか?
④買ったものは何か?
⑤購入価格はいくらか?
さらに追跡調査で5,254人に、過去1時間以内に体験型の消費、あるいは物質的な消費を行ったかを尋ね、「はい」と答えた場合、その買い物に関する詳細を尋ねました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、2つの調査では、異なるタイプの消費者を対象としましたが、結果は同じでした。
2、体験にお金を使う方が、物にお金を使うよりも幸せになれることが確認されました。
3、幸せになれるかどうかには、値段は関係ありませんでした。
4、コンサート、レストラン、旅行、スポーツイベントなどの体験にお金を使う時、体験前から、体験中、体験後までもずっと幸せを感じることができました。
5、衣服、家具、宝石、電化製品など、単なる物を購入すると、時が経つにつれてその価値が薄れていきました。
6、ただし、本、テレビゲーム、楽器など、経験的な要素を多く含む所有物は、単なる物質的な所有物よりも人々を幸せにしていました。
7、より幸せになりたいのであれば、物質的な消費の一部を体験型の消費へと変えるのが賢明かもしれません。
8、そうすれば、より大きな幸福につながる可能性が高いでしょう。
出典:Journal of Experimental Social Psychology
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0022103119305256?via%3Dihub
研究によれば、心に長くとどまって幸せを持続させるお金の使い方は次の順番だそう。
体験
↓
経験的な要素を多く含む物
↓
単なる物
一瞬で過ぎ去ってしまう楽しいイベントよりも、物の方がより長く所有できるし、長く使うことができるのでお得感があります。
それにも関わらず、経験は所有物に勝るとのこと。
確かに子供と旅行に行く約束をした時の、その日までを指折り数えて過ごすワクワク感や、旅行に行った後、写真を見ながら幸せな思い出に浸って何度もうっとりする時間を考えたなら、納得の研究結果です。
そして興味深いのは、単なる物よりも、経験的な要素を多く含む物の方が人を幸福にするということ。
我が家では、毎日家事を手伝ってくれている家電達に名前をつけて可愛がっているのですが、次第に愛着が湧いてきて、家電というよりもはや家族の一員のような親近感があります。
家電であっても、単なる物として扱うか、それとも愛情深く慈しむかで、確かに幸せ度合いが何倍にも違っています。
なので子どもにも、幸せなお金の使い方とは、何をいくらで買うかではなく、縁あって自分の手元にやってきた物のことを、感謝を込めて丁寧に扱うことだと伝えたいです。
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