毎日忙しくしていると、ストレスは積み重なって行くもの。
日常生活の中には、嫌いだけどやらなくてはいけないタスク、苦手だけれども調子を合わせなくてはならない上司、本音とタテマエの使い分けなど、避けては通れない大人の事情があったりして‥。
日常的なストレス要因によって、イライラしたり、気分が悪くなったりしてしまうのは困りもの。
そんなストレス要因を和らげて、前向きに過ごすための方法が研究で明らかになりました。
サマリーをシェアします。
2020年、アメリカ ノースカロライナ州立大学のメロディ・G・ポーク氏を筆頭著者とする、「今という瞬間に集中する」ことと「先を見越した計画を立てる」ことがストレスに対する反応にどのような影響を与えるのかを調べた研究結果が発表されました。
「今という瞬間に集中する」とは、過去や未来ではなく、今この瞬間の体験や感情に目を向けて、ありのままを観察している心の状態のことです。
「先を見越した計画を立てる」とは、ストレスを感じてから対処するのではなく、将来ストレスをもたらしそうな要因について考え、前もって戦略を立てて対処することです。
研究には60歳から90歳までの116人と、18歳から36歳までの107人の合計223人が参加しました。
参加者の「先を見越した計画を立てる」能力と、「今という瞬間に集中する」心理状態を8日間にわたって追跡調査しました。
また、直面しているストレスの要因、今に集中している度合い、その日の気分を記録し、報告してもらいました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、「先を見越した計画を立てる」ことには、気分が良くなる効果がありましたが、この効果は、参加者が「今という瞬間に集中する」ことができていないと報告した日には、ほぼ無くなっていました。
2、「先を見越した計画を立てる」ことに「今という瞬間に集中する」心理状態が組み合わさると、気分が良くなっていました。
3、日々のストレスを乗り切るためには、「今という瞬間に集中する」ことと、「先を見越した計画を立てること」の2つを組み合わせることが重要だと分かりました。
4、研究は、この2つを組み合わせることで、あらゆる年齢層の人が日常的なストレスに対して回復力を持てるようになることを示しています。
出典:Personality and Individual Differences
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0191886920301604?via%3Dihub
強いストレスを感じて、心にダメージを負ってしまったら、そこから回復するには時間とエネルギーを要してしまいます。
そんなストレス要因のすべてを回避したり、解決したりできるわけではありませんが、事前の計画と今に集中する心の在り方の2つを整えることによって、強いストレス耐性を持つことができるそう。
もっと早く知りたかった研究です。
私のCA時代の話ですが、当時はフライトの事前準備をこと細かく、入念に行うのが常でした。
機内でスマホが使える現代とは違って、当時は機内での電気電子機器の使用に制限がありましたから、全ての調べ物を地上で終えておく必要があったのです。
特に新人時代の私はビビリでしたので、フライト当日の天候、フライトルート、機内から見える山脈や河川の形と名称、富士山が見える時間帯、東京ディズニーランドの花火が見える座席、流星群が見える方角など、お客様から質問されそうなことを片っ端から調べ挙げ、制服にカンペを忍ばせてフライトしていました。
実際に質問されることは結構あり、カンペを落とさないよう気をつけていました。
今振り返れば、「先を見越した計画を立てる」ことばかりに囚われて、「今という瞬間に集中する」気持ちを持てず「もし知らないことを聞かれたらどうしよう?」と先の心配ばかりしていたので、ストレスを軽減する効果がなくなっていたということになります。
確かにいつも緊張していて、無事にフライトが終わるとヘトヘトでしたね。
頑張って事前の計画を立てても、今に集中する心の在り方ができていなければ、ストレスを軽減させることができないことは、私の体験で実証済みです。
ちゃんと準備してきているのだから、目の前の業務に集中していればよかったのです。
当時の私のようなタイプは、「今、ここ」に集中する練習をすれば良いとのこと。
只今の瞬間に意識を向けて、自分の感情を観察すると、確かに不安に振り回されなくなる気がします。
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