思春期の子ども達って、他人からどう見られているかをいつも気にしている印象です。
彼らは無愛想で無関心な態度をとって自分をクールに見せようとしますが、それって成功しているのでしょうか?
無表情であることがカッコ良さの認知にどのような影響を与えるかについて、消費者心理学の観点から調査した研究があります。
サマリーをシェアします。
2018年、アメリカ アリゾナ大学のカレブ・ウォーレン博士を筆頭著者とする、「笑顔」と「無表情」のどちらがより「カッコ良い」と思われるかどうかを体系的に検証した研究結果が発表されました。
研究には、664名(男性417名、女性247名、年齢19歳〜70歳)が参加しました。
参加者は、「笑顔」と「無表情」の2つのパターンの男女モデルが登場する、有名ファッションブランドの印刷広告を見せられ、どちらがよりカッコ良いかを回答しました。
研究者達は、無表情でいることの効果が、異なるタイプの参加者や広告ブランドでも同一の結果になるかどうかを調べるため、参加者と商業ブランドを変えて、4回の実験を行いました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、笑顔で感情を表現すると、カッコ良いと評価されることがわかりました。
2、これは、クールな無表情こそがカッコ良いとされる、世間の一般論を否定するものです。
3、無表情な顔は、愛想がなく、支配的で冷たい印象を与えていました。
4、広告モデルが無表情の時の方が、笑顔の時よりも温かみが少なく感じられ、商業ブランドに対する好感度も低くなることがわかりました。
5、カッコ良く見られようとして無表情でいると、人間関係を悪化させます。
6、無表情であることは、カッコ良いこととは言えないのです。
出典:Journal of Consumer Psychology
https://myscp.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jcpy.1039
「いや、そんなの信じられない。」という人もいることでしょう。
だって巷では、無表情なアイドルやアニメキャラが人気ですし、ハイブランドの広告には表情を抑えたクールビューティなモデル達が登場します。
確かに映画やドラマの中には、暗い影があって無表情なのに魅力的な登場人物がいるものですが、あれは彼らの演技力の賜物であって、私たちが何も考えず無表情だけを真似しても、同じになれるはずもありません。
逆に、無表情でも魅力的な芸能人やスーパーモデル達は、表現者として凄い実力の持ち主ということになります。
無表情と、感情を内に秘めた表情とは、似ていても全くの別物ということ。
そのことに気づかず、カッコ良さを履き違えていると、単なるイタい人になってしまいます。
実際私は、過去にこのことを体験済みです。
私がCAとしてまだ新人だった頃の話ですが、笑わないことで有名な某先輩がいました。
笑い皺ができるのを恐れているとの噂で、この先輩とフライトでご一緒する際には、けして笑わせてはならないという申し送りすらありました。
そんな時に限ってドジを踏み笑いを誘ってしまう私でしたが、その先輩は本当にピクリとも笑わず、美しい能面のよう。
気になってガン見したところ、結構年配なのにシワひとつない美肌の持ち主で、スレンダーな美女でした。
それほど容姿に恵まれているにも関わらず、怖い印象しか残らないのですから、つくづく無表情とは恐ろしい。
あの時の体験を思い返しても、相手が何を考えているのか分からないのは非常に怖いもの。
逆に、感情がすぐに顔にでるタイプは安心感や人懐っこさが感じられて可愛いですね。
最近はツンデレキャラも人気ですが、あれは普段は無愛想でツンとしているのに、稀にデレっと甘えてくるギャップによって、より感情表現が強調されますので、心理学的に理にかなっていそう。
隙を見せないポーカーフェイスを気取っていても、実はたいしてカッコ良くなくて、笑顔の方がずっと魅力的なのです。
このことを、思春期の子ども達に声を大にして伝えられたら良いのですが、まずは家族に、笑顔と表情の重要性を話しておきます。
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