会社の受付、一流ホテルのドアマン、美容サロンのレセプションなど、お客様と最初に接する人のことを「会社の顔」などと呼ぶことがあります。
つまり、最初に対応した人の対応が悪ければ会社全体のイメージダウンにつながる一方で、最初に対応した人のサービスが素晴らしければ、会社全体の評判が上がるということ。
心理学の研究でも、人は、最初に会った人の印象で、その人が属する集団全体を判断する傾向があることが分かっています。
サマリーをシェアします。
2020年、イギリス ロンドン大学シティ校のジャニーナ・シュタインメッツ博士を筆頭著者とする、一番目のメンバーの印象が集団全体に与える影響を調べた研究結果が発表されました。
研究で行った実験の1つでは、5人の外国人科学者が就労ビザを申請した場合の、その集団全体の印象を参加者に質問しました。
その際、参加者を3つのグループに分けました。
1つ目のグループには、一番目の科学者が、研究で重大なミスをしたと伝えました。
2つ目のグループには、三番目の科学者が、研究で重大なミスをしたと伝えました。
3つ目のグループには、五番目の科学者が、研究で重大なミスをしたと伝えました。
結果、次のことがわかりました。
1、一番目の科学者が研究で重大なミスをしたと伝えた時、参加者は5人の科学者全員に低い評価をつける傾向があり、全員のビザの申請を却下する可能性が高くなりました。
2、三番目や五番目の科学者が研究で重大なミスをしたと伝えた場合、参加者はより寛容で、全員に低い評価をつけることはありませんでした。
3、他の研究においても、集団の同質性が高い場合、誰かが、ある集団の「一番目」だと紹介された場合、同じ集団の他の人々に対する期待値が、良くも悪くも一番目の人によって左右されました。
4、これは「ファースト・メンバー・ヒューリスティック」によるものと考えられます。
5、それは、誰かに「一番目」というレッテルを貼ると、その「一番目」の人の評価には、同じグループの後続の人たち全員の印象を左右するような強い影響力が生じる効果のことです。
6、集団に同質性がない場合は、この効果が弱まりました。
出典:Journal of Personality and Social Psychology
https://doi.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fpspi0000201
ヒューリスティック(heuristic)とは、経験や直感に基づく判断のことです。
確かに、初めて訪れた外国で、最初に出会った現地の人の印象って大きいものです。
人だけでなく、お料理などでも同じこと。
最初に一口味わったお料理の印象が、そのレストラン全体の評価を左右することってよくあります。
一番目って、良くも悪くも二番目以降の判断基準にされやすい存在なので、悩んでも仕方ありません。
これについては、そういうものだとの割り切りも大事ですね。
私自身の経験で言えば、今の会社に転職した際、私が元CAということは周囲に知れ渡っていました。
当時、社内にはCAに親切なイメージを持つ人がいる一方、TVドラマなどの影響でCAに性悪な印象を抱き、敵意や偏見を持っている人もいたのです。
最初はどうにもならないこともありましたが、先入観は後からいくらでも覆すことが可能です。
当時は心理学のことなど何も知りませんでしたが、自分に責任のないことで落ち込むなんて無駄なこと。
それよりも仕事でCAらしからぬ結果を出すことで、ステレオタイプなCAという「ファースト・メンバー・ヒューリスティック」を跳ね返すことができました。
今は会社で唯一のシングルマザー従業員なので、私がシングルマザーの評判を落とさないよう、気をつけているところです。
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