小説を読む際、物語の世界に浸りきることで、その世界観をリアルに感じることが出来ます。
研究によれば、登場人物の感覚を味わいながら読むことで、自分自身の行動を変えることもできるそうです。
サマリーをシェアします。
2012年、アメリカ カーネギーメロン大学のジェフ・カウフマン博士と、オハイオ州立大学のリサ・リビー博士による、物語の登場人物への感情移入による行動の変化を調べた共同研究結果が発表されました。
研究では、自発的に投票行動を起こすかどうかを調査するため、投票案件に関わる内容の、短いフィクション作品を2つのパターンで用意しました。
そして、参加者を2つのグループに分けました。
Aグループの参加者には、自分と似通った登場人物について、一人称で書かれたヴァージョンを読んでもらいました。
Bグループの参加者には、自分とは似ていない登場人物について、三人称で書かれたヴァージョンを読んでもらいました。
結果は、次のようになりました。
1、特に指示が無いにも関わらず、Aグループの65%が数日以内に実際に投票しました。
2、これに対して、Bグループの投票率は29%でした。
3、Aグループの参加者は、登場人物の性格や体験を、自分のものとして取り込んでいたと言えます。
4、Bグループの参加者は、登場人物に共感できなかったと考えられます。
5、自ら物語りの登場人物になりきり、その人物の思考、感情、目標、行動などを自分のものであるかのように想定する体験は、その後数日間の行動に影響を与えることがあります。
出典:Journal of Personality and Social Psychology
https://doi.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fa0027525
一人称で語られる物語の登場人物との仲間意識を共有することで、あたかも登場人物の人生を体験しているかのように感じていたとのこと。
それだけでなく、自分自身の行動にも影響を及ぼしていました。
つまり、共感できるストーリーを一人称で読むことで、自分の行動を変えることができたのです。
確かに私自身も、自分と似たような境遇の人が頑張るドキュメンタリー番組などを見ると、つい自分のことのように感じて応援したくなります。
それだけではなく、私自身も励まされてやる気が出るのですが、それが心理学で研究されていたとは驚きです。
歴史上の憧れの人物とか、ファンタジー小説の素敵な登場人物とか、共感できる物語を沢山読んでポジティブな行動力をチャージしたいものです。
もちろんこれは、小説に限りませんよね。
尊敬できる登場人物の出てくるドラマや映画などを見て、自分を奮い立たせることも可能ということ。
もし子どもが、アニメや漫画に夢中になっていたら、禁止するより思い切りのめり込ませる方が、意外にも憧れのキャラクターの良い影響を受けることがあるかもしれません。
このような効果を知り、うまく使いこなすことで、多忙な毎日を楽しく乗り切っていきたいものですね。
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