無邪気で天真爛漫な子どもの姿には、親でなくとも気分がほっこりするものです。
ですが、なかには大人に対して辛辣な皮肉を言う子どもがいて、性格がひねくれているように見えることも…。
親としては、「育て方が悪かったのかしら?」と、心配になったりします。
ところが心理学の研究で、皮肉にはクリエイティビティの促進という、素晴らしい効能があることが明らかにされています。
サマリーをシェアします。
2015年、インシアード経営大学院のリー・ファン准教授を筆頭著者とする、皮肉の効能に関する研究結果が発表されました。
実験の参加者たちは3つのグループに分けられ、次のような条件で会話をするよう指示されました。
Aグループ:「皮肉を言う」
Bグループ:「中立的な意見を言う」
Cグループ:「誠実な意見を言う」
その後、全員にクリエイティビティを発揮する課題に取り組んでもらいました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、Aグループの参加者は、課題で他のグループよりも良い結果を出しました。
2、皮肉な会話をしたり、それを思い出したりすることで、皮肉を言った人も言われた人も、クリエイティビティが高まりました。
3、皮肉がクリエイティビティに及ぼす影響は抽象的であるため、どんな皮肉でも効果がありました。
4、一般的に言って、皮肉は軽蔑と受け取られることが多く、人間関係において対立を誘発するものです。
5、ところが信頼できる相手との間で皮肉を言ったり言われたりする場合は、クリエイティビティだけが高まり、対立は生じませんでした。
6、人間関係を壊さずにクリエイティビティを高めるには、信頼関係を築いている人との間で皮肉を言い合うのが効果的と分かりました。
出典:Organizational Behavior and Human Decision Processes
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S074959781500076X?via%3Dihub
皮肉も悪い面ばかりでないとは意外です。
子どもが親に皮肉を言うのは、しっかりした信頼関係ができているからなのかもしれません。
あるいは、生まれつきクリエイティブな能力が備わっているのかも?
いずれにせよ、皮肉を言うべき相手を間違えないよう、釘を刺しておくべきですね。
親としては子どもの皮肉を叱るのではなく、軽~く受け流し鮮やかに切り返したいものです。
「そのためにはどうすれば?」と、頭の中で考えを巡らすことも、脳の創造性を高めているそうですから。
ちなみにインシアードは、ヨーロッパやアジアに複数のキャンパスを持つグローバルなビジネススクール・経営大学院です。
授業はすべて英語ですが、入学するには英語ができるだけではダメで、英語ともう1か国語の2言語に精通していないといけないそう。
つまり、学生全員が多言語話者で、様々な意見や価値観に触れながら学ぶのです。
そんな多様性あふれるキャンパスで、民族も文化も異なる相手に皮肉を言ったり、まぜっかえしたりしてゆくには、学力や教養だけでなく、ウィットのセンスも必要そうですね。
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