毎日学校に通い、テストで成績が決まる子ども達にとっては、学習効率も大事です。
夢を叶えるために勉強を頑張る姿を、親としても応援したいもの。
研究者の間では、交互配置学習法という効率的な学習方法が知られています。
これは、最初の単元から順番に勉強していくよりも、複数の単元をサンドイッチのように挟み込んで解いて行く方が、学習効率がよくなるというものです。
例えば、AとBとCの3つの単元があったとします。
A→A→A→B→B→B→C→C→C
このように、単元ごとにまとめて、最初から順番に学習するよりも、
A→B→C→B→A→C→A→C→B
このように、違う単元を挟み込みながら勉強した方が、効率が良いのだそうです。
サマリーをシェアします。
2015年、アメリカ サウスフロリダ大学の、ダグ・ローラー博士を筆頭著者とする、通常の学習方法と交互配置学習法の効率を比較した研究結果が発表されました。
研究では、子ども達を2つのグループに分け、算数の4つの単元を教えました。
1つ目のグループには、通常の学習方法で算数を教えました。
授業では最初の単元を学び、それを練習してから次の単元に進みました。
2つ目のグループでは、交互配置学習法による授業を行いました。
練習問題には、複数の単元にまたがる知識を必要とする問題が含まれていました。
2つの学習方法の効果を、テストにより測定しました。
1日後のテストでは、2つめのグループの生徒の方が25%良い成績を取りました。
1ヶ月後のテストでは、2つ目のグループの生徒の成績が76%上昇しました。
2つのグループの違いは、単元ごとにまとめて学習したか、複数の単元を混ぜながら学習したかだけであり、学習時間は同じであることを考えると、この差は大きいと言えます。
出典:Journal of Educational Psychology
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/acp.1598
学生時代、単元を順番に理解しないうちは先に進んではいけないような気がしていましたが、単なる思い込みだったようです。
交互配置学習法は、これ以外の複数の研究でもその効果が示されているにもかかわらず、多くの人がこの学習方法を知りません。
なので、交互配置学習法は、これまで主に研究者だけが知っている秘密でした。
交互配置学習法では、特定のスキルの練習が分散して行われる所が欠点とされています。
通常の学習方法であれば、1度に1つの課題に集中すればよく、学んだ後はその記憶の維持に努めることとなります。
しかし交互配置学習法では、複数の課題に同時に取り組まなくてはなりません。
2つ以上の能力の習得について、頭の中でずっと解決策を探し続ける必要があるのです。
そのため、最初に難しく感じてしまい、途中で挫折しやすくなります。
逆に言えば、そうやって脳に負荷を与え続けるからこそ、通常の学習方法よりも効率が良いのでしょう。
いくら効率が良いといっても、ラクな方法という訳ではないのですね。
インスタントでお手軽なノウハウが巷に溢れている現代の子ども達に、さほど広まらないのもうなづけます。
私自身、交互配置学習法の学び方に納得できるのは、社会人経験があるからかもしれません。
仕事って、こんな風に複数バラバラに開始して、最後に一気に繋がるまで全貌が見えてこないことがありますから。
つまり、長期的なスパンで何かを習得しようとするとき、交互配置学習法は有効なのかもしれません。
子どもに交互配置学習法の学び方を教えるためには、ゴールまで走りきれるよう、最初に目標設定を明確にし、初期段階で挫折しないよう見守る必要がありそうです。
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