小さい頃は優しくて仲の良かった子どもが、思春期になって突然反抗したり、些細なことでキレて、暴れるようになったりすると、親は子どもの将来を心配して動揺してしまいます。
こうなったのは、きっと自分の育て方が悪かったに違いないと考えて、自分を責めてしまいがち。
行政機関に相談しても話を聞いてくれるだけで、納得のゆく説明や対処方法は教えてもらえませんでした。
しかし、心理学の研究では、10代の若者がネガティブなのには理由があるとされています。
サマリーをシェアします。
2019年、アメリカ、インディアナ大学のラター・A・ローレン博士を筆頭著者とする研究結果が発表されました。
この研究では、顔の表情に対する感受性について、生涯にわたる発達的な変化を明らかにしました。
10歳から85歳までの9,546人の参加者に対して、恐れ、怒り、幸福の感情を識別する心理学的なテストに回答してもらいました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、テスト結果には、年齢、性別による違いが確認されました。
2、すべての年齢層において、女性は男性に比べて、恐れと怒りに対する感度が高くなっていましたが、幸福に対する感度には違いがありませんでした。
3、思春期から成人期前半にかけては、すべての感情に対する感度が上昇していました。
4、特に思春期は、怒りの知覚が発達していました。
5、高齢者は、加齢に伴って恐れと怒りの感度が低下しますが、幸福の感度はほとんど変わりませんでした。
出典:Journal of Experimental Psychology
https://doi.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fxge0000559
つまり、人は発達の過程で、10代の頃、怒った顔や社会的な脅威に対して最も敏感だということ。
10代の子供達は、大人達が気がつかないような、ごく些細な負の感情の兆候を見分けているのです。
親からしたら、子どもに対して「そんな些細なことでくよくよ悩むなんて」と思うようなことが起きるのもうなづけます。
親である私自身もかつてはそうだったに違いないのですが、思春期の子ども達にとっては親達が考えるよりもずっと、世の中は危険で、理不尽で、辛いものに感じられているのです。
でも、人は年齢とともに、恐れと怒りの感度が下がってゆくので、次第に若いころの悩みがちっぽけに思えてくるのです。
私の周囲でも昔は怒りっぽかったのに、年を取るに従って、性格が丸く穏やかになってきた人がいます。
ですから、加齢も悪いことばかりではありません
年齢とともに怒ることや怖がることが減って、相対的に幸せに思えることが増えていくなんて素敵です。
まとめると、思春期の子どもが荒れていても、親のせいばかりとは限りません。
親世代と10代では、恐れと怒りの感受性に、ギャップがあるのが一因かもしれません。
幸せの感度は変わらないのですから、お互いにとって幸せを感じられるような共通点を増やしてみたいものです。
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