胃痛や吐き気など、子どもにはよくある症状です。
朝、急にお腹が痛くなって学校へ行けなくなったりすると、身体が心配です。
でも、中には精神的な悩みを抱えているサインの場合もあるそうです。
サマリーをシェアします。
動物実験において、消化器疾患と精神疾患は互いに共存していて、どちらも幼少期の逆境により引き起こされることが示されています。
これは、脳と消化管内に生息する細菌との間に相互作用があるためと考えられていますが、これが人間にも当てはまるかどうかについては、これまで調べられていませんでした。
UCLAのブリジット・キャラハン博士らを中心にした、逆境にさらされた子ども達の心と胃腸障害の関係を研究した結果が、2019年に公開されました。
この研究では、3歳から18歳までの344人のデータを利用して、逆境と、胃腸と、不安の関連を調べました。
229人の実親に育てられた子どもと、115人の幼いころに実親と引き離された経験があり養親に育てられた子ども(施設、里親、国際養子縁組など)が対象になりました。
研究者は、各グループの子どもを対象に脳スキャンと遺伝子配列の解析を行いました。
その結果、次のようなことがわかりました。
1、幼少期に実の親と引き離された経験を持つ子供は、そうでない子どもと比較して、より多く腸の問題を経験していました。
2、幼少期に混乱があった子どもは、便秘、胃痛、吐き気、嘔吐などの症状に悩まされる可能性が高いことが分かりました。
3、幼少期にメンタルにダメージを負った子どもは、腸内細菌の多様性が低いことが分かりました。
4、脳スキャンの結果、腸内環境の問題と、脳の感情を処理する部分の異常とは、関連性がありました。
5、研究により、子ども時代に腸のトラブルを抱えていた人は、将来メンタルヘルスの不調を抱えやすくなる可能性があるということが、示唆されました。
6、これらの発見により、プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌など、腸内フローラのバランスを改善する有用な微生物)が一部の人々の治療に役立つ可能性が示唆されました。
出典:Development and Psychopathology
この研究は、幼少期の逆境により引き起こされた子どもの消化器官の微生物の乱れと、感情に関連する脳の活動とを関連付ける、初の研究だったそうです。
そのため、この研究だけで決定的なことを言うのは早すぎるかもしれませんが、興味深いです。
この研究は、ストレスによる腸内フローラの変化が、感情に関連する脳の機能に関わっていることを示唆しています。
ひとり親としては、考えさせられます。
一概には言えませんが、親の離婚が、幼少期のトラウマになっている場合もありそうだから。
子どもは健気に明るく振舞っていても、心が傷ついているサインが、腸の不調という形で表に出ているケースもあるのかもしれません。
心配ですが、普段から子どものお腹の調子に気を配っていれば、子どもが悩みを抱えた時、早めに対応できる可能性があるということでもあります。
そして、幼少期に辛い体験をしたとしても、食物や生活習慣に気を配るなど、腸内環境を整えることで、メンタルヘルスを整えられる可能性があるとは、希望が持てます。
今後のさらなる研究に期待が高まりますね。
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