「曲がり真っ直ぐ」という言葉をご存知ですか?
「曲がりくねってはいても、目指す方向に進んでいる」という意味だそうです。(※諸説あり)
実はこの言葉を、とある先輩に教えてもらいました。
もう遠い昔の話ですが、新人CA時代の私は、毎日焦って失敗ばかり。
先輩たちは仕事が出来て頭が良くて美しく、内心「場違いな所に来ちゃった。」と思っていました。
思うように仕事ができない自分が情けなく、落ちこぼれの悲哀を味わっていたのです。
そんな時、落ち込む私に先輩がかけてくれたのがこの言葉です。
「あのね、曲がり真っ直ぐっていう言葉があるの。途中で曲がったり、脇道に逸れたりすることがあったりしても構わないの。真っ直ぐでなくても、曲がりながらでも、前に進んでいればいいのよ。」
初めてこの言葉を知った私は、「へえ、面白い言葉だなあ。」と、妄想が膨らみました。
たとえば、自分の歩いているのが幅30cmの細いあぜ道だったとします。
ちょっと横へ踏み外したら、あっと言う間に道端から下へ落ちてしまいます。
そうなると、落ちないように、落ちないようにと、足元に集中し用心深く歩むわけです。
でも、自分の歩いているのが幅3mくらいのゆったりした歩道だとしたら?
周囲の景色を愛でながら悠々と歩めます。後から振り返るのもきっと楽しいでしょう。
「それ、いいな!」と思った私です。(←単純です。)
そこから徐々に、自分の「これが出来なきゃダメ」を減らし、「これもまあアリ」を増やしていきました。
すると自分に許可を出せるようになり、他人にも優しくなれました。
あんなに失敗を怖がっていた頃が嘘のように、図太くなって今に至ります。
教えてくれた先輩に、感謝です。
つい最近、会社でミスをしてしょんぼりしている若手社員がいました。そんな相手に対して、
「目的は一つでもそこへ至るプロセスはね………」
のような言い方すると、私の年代だと説教臭くていけません。そこで、
「大丈夫よ。私も昔、教えてもらったんだけどね…………」
と「曲がり真っ直ぐ」の話をしたら、笑顔になってくれてホッとしました。
一度きりの人生ですから、巡りゆく季節を眺め、たまには寄り道も楽しみつつ、おおらかに歩みたいものです。
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