「心理学」って、人の心を操るとか、人の本心を読むとか、そういう印象ありませんか?
心理学とは、心というつかみどころがなくて、数値化できないものが研究対象。
人間の言動から推測できる心の動きについて科学的に研究し、心の仕組みを解明する。
こんな風に説明され、心理学を応用したノウハウ本もありますね。
でも、ノウハウ本の「○○すれば、△△になる」って、限定的な状況でしか使えない気がします。
私の場合、心理学の理論よりも、銀座のクラブのホステスさんや、京都の芸者さんの体験談の方がリアルで腑に落ちます。
繊細な心の機微が分かっているな、深いところをよく見ているな、と尊敬します。例えば、
「立ち去る背中を意識して。人は去り際をよーく見ているから。」
などと書いてあって、強く賛同するのです。だって私の経験上、その通りだから。
あくまで私の個人的意見ですが、人の心を操作しても、あまり長続きしない気がします。
むしろ、心理学を学ばないと他人の気持ちがわからないほうが、問題なんじゃないかと思ったりします。
なぜならば、マニュアル対応って応用が利かない気がするから。
遠い昔、私のCA時代には、接客マニュアルは無かったし、心理学を勉強した記憶もありません。
接客術は体感覚でつかむのが基本で、先輩から後輩へ代々口伝で伝わる内緒話もありました。
例えば、平日の国内線の早朝便に、隙なく身支度を整えたビジネスマンが搭乗されたとします。
私達は大体ひと目でその方が、どのような方で、どんな目的の移動で、CAにどうして欲しいと思っているかがわかります。
実は新人の頃の私はこれが全く分からず、気も利かず、先輩に「○番席のお客様に日経新聞お持ちして」などと言われて、言われるままにお持ちしていました。
するとお客様が「何でわかったの?」とびっくりなさるので、私の方が驚いていました。(そしてとても喜んでくださるのでこちらも嬉しいのです。)
後から先輩に「なんで判るんですか?」と聞くと「だって顔に書いてあるでしょ」との答えが返ってきて謎でした。
新人時代は全く意味がわからなかった私でしたが、接客に興味を持ち、日々注意深くお客様を観察しているうちに、次第に勘が当たるようになってきたのです。
先輩の言った通り、お客様の様子を観察し、「忙しくて家で読めなかったから朝刊を読みたい」、「会話のネタ作りに週刊文春が読みたい」、「少し寝るから毛布が欲しい」という気持ちが読み取れるようになったのです。
なんでそういうことができるかというと、同じ状況を圧倒的な回数で反復訓練しているから。
インスタントなノウハウはありません。
同じフライトを何十回と繰り返して脳内にデータが溜まっていくから、時間の経過とともに精度が上がっていくのです。
要は、仮説&実証実験の蓄積の賜物です。そういうところが、心理学に近いような気がしています。
CAの仕事って、お客様を凝視していても全く怪しまれない稀有な職業なので、今から思えば人間観察にもってこいだったのですね。
心理学を学んでいくと、人間についての謎がさらに解き明かされるのかもしれません。
これからどんな学びが待っているのでしょうか? 楽しみです。
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