私達の右脳と左脳のうち、どちらが体の動きをコントロールしているかによって脳のタイプがわかるとする、「左脳・右脳優位説」という考え方があります。
この考え方だと、左脳は記憶や言語活動を司る「論理脳」と呼ばれ、左脳優位な人は論理的、合理的で計算作業に長けているとされています。
対照的に右脳は直感やひらめきをつかさどる「感覚脳」と呼ばれ、芸術的、創造的で自発的なタスクが得意とされています。
一般に、「男性は左脳優位で論理的、女性は右脳優位で感覚的」と言われていますが、これまで私もこの説を信じていました。
ところが脳科学の研究が進んだ現在、これらはほとんど神話のようなものと考えられていて、人間の能力を最大限に発揮するためには左右両方の脳が必要なのだそう。
研究のサマリーをシェアします。
2013年、アメリカ ユタ大学のジャレド・A・ニールセンを筆頭著者とする、左脳と右脳の偏りについて、個人の有意差を調べた研究結果が発表されました。
研究には、7歳から29歳までの1011人(男性587人、女性424人)が参加しました。
参加者は横たわった状態で5~10分間何も考えずにすごしました。
そして、この安静時の脳の状態をMRIでスキャンし、神経画像データを分析しました。
個人の脳内で、左脳と右脳のどちらかに偏った接続があるかどうかを調べました。
また、脳内ネットワークの強度に左脳優位や右脳優位とされる違いがあるかどうかを調べました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、個人によって、左脳のネットワークが強化されていたり、右脳のネットワークが強くつながっていたりするパターンは見られませんでした。
2、加齢に伴うわずかな差は見られましたが、性別による脳内ネットワークの違いは見られませんでした。
3、性格のタイプは、左脳と右脳のどちらかがより活発で、より強く、よりつながっていることとは関係ないのかもしれません。
出典:PLUS ONE
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0071275
実際のところ、左脳・右脳優位説は科学的根拠のない俗説なのだそう。
いきなりそう言われても、これまでの思い込みが強いとなかなか信じられません。
でも考えてみれば、もう今は性的マイノリティーと呼ばれるLGBTQに対する理解も進んでいる時代です。
男性的か女性的かという2択しかない分類が時代遅れになる日も近いのかもしれません。
私達って、思っているよりもずっと複雑な要素で構成されていて、善人とか悪人とか一概に決めつけることはできないし、性格だって、明るいか暗いかの2択ではなく、もっと沢山の種類があります。
脳の特性だって、性格と同じくらいのバリエーションがあってもおかしくないですね。
将来は、脳のタイプが解明されて、それぞれの脳の特性に合った効率の良い脳の使い方が開発されたりするのかも。
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