人にもよりますが、運動は習慣化するのが難しく、継続しようとしてもモチベーションが続かず挫折してしまう人が後を絶ちません。
心理学で「外発的動機付け」(Extrinsic motivation)という用語があり、報酬、評価、罰則、損得勘定といった、外部からの働きかけによるモチベーションのことです。
これに対して「内発的動機付け」(Intrinsic motivation)とは、楽しいからやりたい、好きなことだから何時間でも没頭してしまうといった、人の内面から湧き出てくるモチベーションのことです。
運動で言えば「体重を10kg減らし、オシャレな洋服を着こなす」が外発的動機付けで、「体を動かすのが楽しい、運動していると気分がいい」が内発的動機付けと言えます。
研究によれば、初心者が運動習慣を身につけるためには「内発的動機付け」が必要なのに、そのことを多くの人が見落としているそう。
サマリーをシェアします。
2016年、アメリカ アイオワ州立大学のアリソン・L・フィリップ博士を筆頭著者とする、定期的な運動の動機となる「内発的動機づけ」の効果について調べた研究結果が発表されました。
1回目の研究には、アメリカの大学463人が参加し、毎週の運動時間と運動強度を自己申告しました。
2回目の研究には、アメリカの大学生と職員114人が参加し、加速度計を用いて1ヶ月間の客観的な活動量を追跡しました。
研究では参加者を、運動を始めたばかりの人達と、運動を3ヶ月以上継続できている人達の二つのグループに分けました。
参加者の毎週の運動時間と運動量を調べ、活動レベルを分析しました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、内発的動機付けの役割には、二つのグループで違いがありました。
2、運動を始めたばかりの人達が、運動により内発的動機付けを得ている場合、運動の継続に効果がありました。
3、しかしすでに運動を継続できている人達の内発的動機付けは、習慣の強化・促進に作用していました。
4、運動を始めたばかりの人達が運動を習慣化するには、運動を始める合図を設定するだけでは不十分でした。
5、朝のアラームや仕事の終わりなどの、運動を始める合図と、内発的動機付けを組み合わせることで、運動を習慣化し維持することができました。
6、もし、運動そのものが内発的動機付けとなれば、人は自動的に合図に反応して運動したくなるため、運動をするように自分を説得する必要がありません。
7、運動が習慣化されていないということは、ずっと努力が必要ということであり、他のやりたい事から時間を奪い続ける事になります。
8、それが、運動が続かない理由なのです。
出典:Sport, Exercise and Performance Psychology
https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fspy0000071
運動に限らず、初心者が新しいことを始め習慣化したいと望むなら、内発的動機付けをよく考える必要があるそう。
私が人生で一番必死で勉強したかもしれないのが、CAの訓練生時代なのですが、当初は「いつまでに〇〇課題をクリアする」という「外発的動機付け」に意識が向きがちでした。
それを「同期と励まし合うのが楽しい」という「内発的動機付け」へと昇華できたお陰で、なんとか訓練所を卒業できた気がします。
生きていれば、好きではないけれど取り組まなくてはならない事が起こります。
どうせやるのであれば、自分が喜べるポイントを探し出し、楽しみながら挑みたいものです。
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