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悩みと向き合うソクラテス式質問法とは?

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多くのセラピスト達がカウンセリングで用いる「ソクラテス式質問法」と呼ばれるテクニックがあります。

 

これは、セラピストが患者を、自分自身や世界に対する思い込みを自分で外し、新しい視点で考えられるように導く質問法です。

 

この質問法は、うつ病患者の治療に役立つ事が明らかになっています。

 

サマリーをシェアします。

 

2015年、アメリカ オハイオ州立大学のダニエル・ストランク准教授を筆頭著者とする、うつ病の認知療法における、ソクラテス式質問法による症状の変化を調べた研究結果が発表されました。

 

研究では、55名のうつ病の成人患者に、16週間の認知療法コースに参加してもらいました。

 

認知療法のセッションを録音し、各セラピストがどれだけソクラテス式質問法を行ったかを調べました。

 

また、セッション後の患者の症状の変動を分析しました。

 

結果、次のようなことが分かりました。

 

1、セッション中、ソクラテス式質問法を用いると、次回のセッションで症状の改善が見込まれました。

 

2、患者は、自分で自分に問いかけ、自身の否定的な考えを自ら疑うというプロセスを学ぶことで、うつ病が大幅に改善される傾向がありました。

 

3、ソクラテス式質問の数が多いほど、うつ症状の改善率が高くなっていました。

 

出典:Behaviour Research and Therapy

 

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0005796715000790?via%3Dihub

 

 

この興味深い質問法は、子育てにも応用できそうです。

 

例えば、子どもが何かのきっかけで不登校になり、希望の進路に進めなくなり、深く落ち込んでいたとします。

 

そして、「自分は完全な失敗者であり、もうこの先、生きていても人生に価値なんてない」なんて、思っていたとします。

 

もし親が、「気にすることないわよ!」なんて軽はずみに励ましたら、さらに傷ついてしまうでしょう。

 

そんな時、ソクラテス式質問で、子ども自身の思い込みに疑問を投げかけてみるのです。

 

例1「不登校を経験した人は、本当にみんな失敗者なの?」

 

例2「不登校を経験したけど、その後の人生が好転している人に誰か心当たりはない?」

 

例3「あなたにとって不登校の経験は、人としての失敗だと思う?」

 

例4「あなたが完全な失敗者ではなく、成功している面もあるという証拠は何かなあ?」

 

このような質問を繰り返すことで、子どもは自ら、状況のマイナス面ばかり見ようとしている自分を疑うようになるのです。

 

そして、良いことも悪いことも含めた状況の全体像が見えていなかったことに気付けるようになります。

 

子どもに限らず人は誰でも、辛い状況に絶望しているとき、現状の中にある希望的な側面を見落としてしまいがち。

 

日常生活の中にも、ソクラテス質問法が役立つ場面がありそうです。

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