最近では教育改革が進み、子どもたちの教育内容も様変わりしています。
生徒全員にタブレットが配布されて、動画で学べる授業も増えつつあります。
受け身で話を聞くのではなく、テーマに興味を持ち主体的に学ぶことが重視されるようになりました。
詰め込み教育がメインだった私たち親世代と比較して、いまの子どもたちの方が恵まれた学習環境にあるといえるでしょう。
ところが、それを覆すかのような心理学の研究があるのでシェアします。
イギリスにあるバース大学のローレンス・ハースト進化遺伝学教授らが2020年に発表した、子どもを対象とした研究によれば、最も効果的な学習方法は、ストーリーテリングとのことです。
ストーリーテリングは、教育のもっとも古い形態のひとつかもしれませんが、現代の教育よりも効果的である可能性があります。
ハースト教授らは2,500人の子どもを大きく2つのグループに分け、それぞれに異なった方法で「進化論」について教えました。
1つのグループは、子供達にとってわかりやすい人間を例にとり、進化について生徒が主体的に学ぶ授業を行いました。
もう1つのグループは、三葉虫について書かれた物語を、教師が読み聞かせました。
三葉虫とは、約2億5,200万年前に絶滅した海洋生物であり、子ども達にとってはイメージしにくい生き物です。
それにも関わらず、三葉虫の物語を読み聞かせられた子どもたちの方が、「進化論」についてのテストで良い結果を出しました。
これらの結果は、効果的な教育には多くの方法があることを示しています。
教育において、1つで全てを解決できるような方法はありません。
我々は、もっとも効果的な教育方法について、先入観を持たないよう注意しなくてはなりません。
出典:npj Science of Learning
https://www.nature.com/articles/s41539-020-00078-0
確かに驚きの結果です。
ICT教育がどんどん進められているこのご時勢に逆行するかのようです。
ただ、物語の方が記憶に定着しやすいというのは、誰でも思い当たるはず。
仕事でも、数字だけで簡潔に説明されると、すぐ理解できなかったりします。(私だけ?)
その反対に、映画などは1回見ただけなのに、そのあらすじをまだ観ていない人にも熱く語れます。
社会人になり、学生時代の勉強は忘れても、子どもの頃に読んでいた絵本の筋書きは覚えていたりします。
つまり、物語形式で理解すると、学習効果が高いということ。
子どもとの会話も、用件だけ簡単に済ませたことで、あとから思い違いが起こったりします。
ちゃんと子どもと向き合って、背景も状況も説明し、ストーリーとして伝えるほうが気持ちが通じあう気がします。
どうしてなのでしょう?
大昔、まだ人類が文字を持たなかった頃、先祖の教訓を子孫に残すには、おそらく口伝しか無かったことでしょう。
当時の人類にとって、ストーリーを覚えて忘れないというのは、伝統文化を守るための必須能力だったのかもしれません。
何はともあれ、こういう研究があることを知ると、「あまり最先端の学習法にこだわらなくてもいいのでは?」という気持ちになります。
今私たちが良かれと思っている方法も、いずれ研究が進んでくつがえされる時が来るかもしれませんから。
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