世の中には、良い教育法に関するノウハウが溢れています。
一体何を信じたらいいのか?
ウチの子に合っている方法はどれなの?
私の経験では、よそのお家の成功事例を真似しても、うまくいかないことが多いです(涙)。
良い子育ての方法に関する情報が多すぎて、ますます迷ってしまいます。
その反対の「最悪な子育ての方法」について、社会心理学者による研究がありました。
思春期の育てられ方の影響が、犯罪学の研究の一環として調査されたのです。
サマリーを紹介します。
アリゾナ州立大学のリック・トリンクナー博士らは中学生と高校生を対象に、18ヶ月間に3回のアンケートを実施しました。
2012年、その研究結果が発表されました。
主な内容は次のようなものです。
1、親の子育て方針と、思春期の子どもの非行度には関連があります。
2、自分が正しいと信じる親は、権威主義的な子育てをする可能性が高くなります。
3、権威主義的な子育てでは、子どもに対する要求水準が非常に高くなり、厳しい罰を与える傾向があります。
4、権威主義的な親は、子どものダメな行動が我慢できず、子どもを信頼しておらず、交渉にも応じません。
5、権威主義的な子育てをすると、子どもが無礼になり、非行に走る可能性が高まります。
6、なぜならば、子どもたちが親を肯定的に見なくなり、反抗しようとするからです。
出典:エルゼビア 思春期ジャーナル 第35巻
https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0140197111000443
これは、大変です。
親だって、子どもが非行に走ることを願っているわけではないと思います。
子どもの将来を考えて、立派な社会人にしようとしているはずです。
なのになぜ、親たちは権威主義的な子育てに走ってしまうのでしょう?
権威的主義的な子育てのメリットは、効率が良いことです。
例えば子どもに「勉強しなさい」といくら言っても効果がなかったとします。
そんな時、子どもを「勉強しないと○○買ってあげないよ!」と脅したら?
子どもは嫌々ながら親の言うことを聞くでしょう。
それを見て「これは便利だな」と思ってしまうと危険です。
見た目上、子どもは良い子になります。
ですが、目に見えないけれど一番大切な、子どもとの信頼関係は壊れてしまいます。
実は私が中学生の頃、親も教師もこの方法でした。
遠い昔の話ですが、1980年代の日本って、学校の荒れが社会問題になっていたのです。
教師から生徒への脅しや体罰は普通で、中学生の教師に対する暴力事件は急増していました。
当時の状況を思い返すと、私はこの研究結果が腑に落ちるのです。
また、私のような、そういう育てられ方をしている世代こそ、同じことを繰り返してしまわないよう、十分気をつけなくては。
例えば、忙しすぎる日常に追われ、親の心が荒んでしまうことってあると思います。
心の余裕も失って、子どもと向き合う手間と時間を惜しんでしまうかもしれません。
そんな時「子どもなんだから親の言うこと聞け」という権威主義の罠に陥りやすそうです。
親自身は、疲れ切っていても良い親になろうとして、一生懸命頑張っているつもり。
子どものために、あえて嫌われ役を引き受け、心を鬼にして指導しているつもり。
そういう、善かれと思っての行動が裏目にでることのないよう、十分気をつけたいものです。
結論として。
親だからと子どもの前で威張って、自分を偉く見せる必要はないということです。
反対に、子育てに自信が持てず、日々反省したり悩んだりしながら試行錯誤を繰り返していてもOKということです。
少なくとも、親の権威を振りかざして子どもを操ってはいないということですから。
そんな風に考えることで、子育てが思うようにいかない時も、自分を責めなくて良くなります。
あまり気負わず、肩の力を抜いて子どもと向き合いたいですね。
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