日本の子どもは他国と比べて自己肯定感が低いって、よく聞く話です。
以前、ある講演会で伺った話ですが、学生向けの講演で、「自分のことを天才だって思っている人は?」と質問すると、アメリカ人の生徒ならほぼ全員手を挙げるのに、日本人の生徒は誰も手を挙げないそうです。
それだけ日本には、自分を好きになれない子どもや、周囲との関係に悩む子どもが多いということなのかもしれません。
実際に、調査結果も出ています。
2020年9月3日にユニセフ・イノチェンティ研究所より、「レポートカード16-子どもたちに影響する世界:先進国の子どもの幸福度を形作るものは何か」(原題:Worlds of Influence: Understanding what shapes child well-being in rich countries)が発表されました。
これは、先進国とされる子どもたちの精神的・身体的な健康と、学力・社会的スキルについて調査し、国別にランキングしたものです。
これによると、日本の子どもの幸福度は、38カ国中、総合順位で20位でした。
しかしその内訳を見てみると、身体的健康度順位は1位でありながら、精神的健康度順位はなんと37位だったのです!
つまり日本の子ども達は、身体的な健康度と精神的な健康度が、両極端にブレているということです。
確かに怪我や病気による死亡率が低く、肥満率も低く、身体的には非常に健康と言えます。
素晴らしい。だから平均寿命も長くなるのですね。
その一方で、子どもの自殺率が高く、生活の満足度が低く、精神的には先進国中最も深刻なレベルで不健康とのことです。
これには、胸が痛みます。
「うちの子は問題ないから大丈夫♪」という簡単な話ではないからです。
幸福度の低い子ども時代を過ごしたと感じる人が、大人になってからもその影響を受け続けてしまうだろうことは、容易に想像がつきます。
同世代の人たちがどんな子供時代を過ごしたのか?
それはいずれ社会全体のムードにも影響を及ぼしてゆくことでしょう。
せっかく健康で長生きできたとしても、生きてゆく社会の幸福度が低かったら、とても残念なことです。
子ども時代を幸せに出来ない私たち大人の責任は、いずれ子どもたち世代に引き継がれてしまいます。
なんとかしなくては。
まず親としての自分が、幸せな子ども時代を過ごせるよう、子どもを支援しチャンスを与えられているかな?
そう考えると、生活に追われ大事なことが後回しになっていたことに気づいてハッとします。
食事の栄養バランスのことは毎日考えているのに、子どもを精神的にサポートしたり励ましの言葉をかけたりすることは、ほぼ意識していなかったりします。
身体的健康に比べると、精神的健康の方が目に見えない分、気づきにくいもの。
子どもの精神的健康も、身体的健康と同じくらい重要と、考え直す必要がありそうです。
2020年2月26日、Worlds of Influence: Understanding what shapes child well-being in rich countriesの日本語版がリリースされました。
出典:日本ユニセフ協会
https://www.unicef.or.jp/osirase/back2021/2102_26.html
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