子どもと遊園地や観光地に出かけた際、携帯電話をかざして写真を撮りまくっている親の姿は、どこでも見られる風景です。
子どもの笑顔が輝く一瞬の姿を写真に収められると、親としては嬉しいもの。
研究で、写真を撮ることが日常生活の楽しみを増やすことが分かりました。
サマリーをシェアします。
2016年、アメリカ 南カリフォルニア大学のクリスティン・ディール氏を筆頭著者とする、写真を撮ることでより楽しい気分が増し、体験に没頭できることを明らかにした研究結果が発表されました。
研究者たちは、今回の論文のために、2,000人以上を対象とした複数の実験を行いました。
ある実験では、市内のバスツアーに参加している人、ファーマーズマーケットで食事をしている人、博物館を訪れている人などを対象に、半数の参加者には写真を撮るよう勧め、残りの参加者には写真を撮らないよう勧めました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、さまざまな状況において、写真を撮った人の方がポジティブな体験の楽しさが高まりました。
2、写真を撮った人はその場で気が散るどころか、ほとんどの場合より多くの経験を得ることができました。
3、写真を撮ることで楽しみが増す理由は、イベントへの没入感が高まり、人々が体験に引き込まれやすくなるからだと考えられます。
4、幸福感は、今あるものに感謝することで高まりますが、私たちは日々の生活に追われ、自分が持っているものを無視しがちです。
5、この問題を解決する1つの方法は、自分にとって大切なものを写真に撮り、記憶にとどめておくことだと言えます。
6、しかし、写真撮影の恩恵は万能ではありませんでした。
7、ネガティブな体験の場合は、写真を撮ることでより悪い状況になってしまいました。
8、例えば、ファーマーズマーケットでの写真撮影を条件に食事をした人のうち、写真を撮ることに否定的な考えを持っていた人は、食事の写真を撮っても楽しさが増しませんでした。
9、また、体験自体がすでに非常に魅力的である場合(図画工作の体験など)や、写真を撮ることが体験の妨げになる場合には、撮影により楽しみが増す可能性は低くなりました。
出典:Journal of Personality and Social Psychology
写真には意外な心理的効果があり、写真を撮ることで楽しい体験に集中でき、日々の活動をより楽しむことができるそう。
私自身、楽しかった食事会の写真などを眺めるとつい笑みがこぼれてしまいますから、幸福感が長続きする効果もありますね。
裏を返せば、旅先でのトラブルなど苦い経験をした時は、後で写真を見るたび思い出してしまうなんて目も当てられませんから撮影を控えた方が良さそう。
また、写真が嫌いな人がいることも事実で、良かれと思って自分の趣味を押し付けては親切の押し売りになってしまいます。
写真の楽しみ方にも知性が問われますね。
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