子供のしつけに関してよく言われるのが、「三つ子の魂百まで」ということわざです。
「3歳くらいの幼い頃に体得した性格や性質は、100歳になっても一生変わることがない」という、情操教育においても軸となる考え方のひとつです。
脳科学でも、1歳から3歳までが脳神経細胞から信号の伝達を行う「シナプス」の密度が最も高く、脳内での感受性や思考力の発達が最も活発な時期であることが検証されています。
研究で、幼少期に自分の感情、思考、行動をコントロールする能力が高かった人は、長寿を含め、その後の人生におけるさまざまな良い結果を予測することが分かりました。
サマリーをシェアします。
2021年、アメリカ ミシガン大学のリア・S・リッチモンド-レイカード博士を筆頭著者とする、幼少期の自制心の高さと、加齢のペースとの関係を調べた研究結果が発表されました。
研究には、1972年4月から1973年3月の間にニュージーランドのダニーデンで生まれた1,037名の健康状態を45年にわたって追跡調査したデータが用いられました。
参加者は、出生時、3歳、5歳、7歳、9歳、11歳、13歳、15歳、18歳、21歳、26歳、32歳、38歳、45歳の時点で研究ユニットを訪れ、インタビューや検査を受けました。
子どもの頃は自制心を、大人になってからは脳と体の老化の兆候を検査しました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、自制心の高い子どもだった人は45歳になった時点で顔つきが若々しく、体全体の老化が遅く、脳の老化の兆候が少なくなっていました。
2、また彼らは、人生における健康面、経済面、社会面での様々な問題に対処する能力が向上していました。
3、子供の頃から自制心を働かせてきた人は、同年代の人よりもはるかに老後に備えていました。
4、誰でも病気がちで貧しく孤独な老後を恐れていますから、うまく年を重ねるためには肉体的にも経済的にも社会的にも準備を整える必要があります。
5、子ども時代の自制心の順位は年齢に応じて変化しており、自制心のレベルは大人になってからでも高めることが可能であるという仮説が示唆されました。
6、成人の自制心は、幼少期の自制心レベルを反映した上で、加齢の結果と関連していました。
7、このため、中年期に自制心を高める教育プログラムを導入することは、人生の質(健康寿命)と量(寿命)の両方を延ばすことができる可能性があります。
出典:Proceedings of the National Academy of Sciences
https://www.pnas.org/content/118/3/e2010211118
確かに自制心が強ければ、つい誘惑に負けて深夜にラーメンを食べたりしないので健康でしょうし、人間関係でもすぐに短気を起こしたりしないだろうから円満そう。
人格形成に最も重要な時期が生まれてから幼少期であるという考え方は日本でも海外でも変わりはないようですから、親が幼少期に子どもの自制心を高めることは一生の財産になりますね。
ただ、自分の思考、感情、行動を上手にコントロールできる人は45歳の時点で生物学的に若い脳と体を持っていると言われたら、つい自分のことも気になってしまいます。
この研究によれば、自制心は大人になった後からでも学ぶことができるそうですから、自分には自制心が足りないと思ったとしても絶望する必要はありません。
老後に子ども達のお荷物にはなりたくないので、今からでも自制心を高め健康で楽しい老後を迎えたいものです。
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