「中二病」とは、思春期の子どもにありがちな自己愛や全能感に満ちた空想や思考のことを指し、実際に治療が必要とされる医学的な意味での病気や精神疾患とは無関係です。
子どもが急に大人ぶってブラックコーヒーを飲み始め、制服を着崩し、仰々しすぎる世界観を持ったゲームやアニメにのめり込み、「プライバシーを尊重してくれない」などと親を批判しだす姿には驚きます。
彼らは批判に対して過剰反応し、攻撃的になったり暴言を吐いたりする傾向もありますから、「親として育て方を間違えたのかしら?」と、不安になってしまうかもしれません。
ですが、そんないわゆる中二病の自己愛は年齢とともに減少することが研究で明らかになりました。
サマリーをシェアします。
2019年 アメリカ ミシガン州立大学のウィリアム・J・チョピック准教授を筆頭著者とする、年齢によって人のナルシシズムがどのように変化するのかを調べた研究結果が発表されました。
研究には1923年から1969年の間に生まれた747名のデータを対象に、13歳から77歳までの間に「批判に敏感」「自分のことで頭が一杯」「自説を他人に押し通す」などの、ナルシストの典型的資質がどのように変化するかを調べました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、一般的に言われていることとは異なり、ナルシシズムのレベルの変化は生涯続き、人生のある年齢や段階で変化が止まることはありませんでした。
2、ナルシシズムの中でも、より不適応な形の自己愛(例:過敏性、意志の強固さ)は生涯にわたって減少していました。
3、自己愛は若い時期ほど減少が早く、特に最初の仕事に就いたときに最も急速に減少していました。
4、人生には、それまでの価値観を少し揺さぶるような出来事が起こって、自己愛的な性質を適応させなければならなくなることがあるものです。
5、例えば、フィードバックを受け入れたり、誰かと別れたり、悲劇に見舞われたりすることがありますが、それにより、自分がかつて考えていたほど素晴らしい存在ではないことを理解せざるを得なくなるのです。
6、年齢を重ねると、新しい人間関係を築き、新しい経験をし、家族を持つなどしますが、このような要素がすべて、人に「自分がすべてではない」と気づかせるのです。
出典:Psychology and Aging
子供の中二病が激しすぎるように思えて将来を案じている親にとって、明るい希望が持てる研究結果です。
人は年齢を重ねるごとに良い方向に変わってゆき、自分のことだけで精一杯にならず、批判に対してもリラックスできるようになるそう。
研究によると、中二病の最適解は就職だそうですが、これも当たっていると思います。
私は仕事で新卒採用→内定者フォロー→入社式→新入社員研修まで担当しているのですが、採用選考では真面目だった大学生も、内定者懇親会では学生コンパのノリで盛り上がります。
その姿は、この子たち大丈夫かと心配になるほど。
そんな彼らも、入社式、新入社員研修を経て配属されて半年も経つと、顔つきがキリッと変わってきて、任された業務を責任を持ってこなせるようになっていきます。
親の保護のもとでぬくぬくと大切に育てられてきた子どもたちは、こうして世間の荒波に揉まれ一人前になって行くのです。
中学2年生は第二次性徴の最中で、心身ともに子供から大人へと移行しはじめる時期でもあり、この頃になると、親が子どもにしてあげられることも限定的になってきます。
大人に憧れつつも子供っぽさが抜けず、年相応に世間知らずなのも、正常な発達の過程と受け止めて、おおらかに見守るのが良さそうです。
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