これまでの複数の研究で、自然の風景を眺めることが心理ストレスからの回復を促すことが報告されています。
ですが、そんなに頻繁に自然と触れ合う機会を持てないのが私のような都会生活者の現実です。
お花屋さんで季節の花を買ってお部屋に飾った場合でも、心理学的に効果があるのでしょうか?
研究のサマリーをシェアします。
2020年、日本の独立行政法人農業食品産業技術総合研究機構の望月寛子研究員を筆頭著者とする、心理的なストレスを受けた後の花の画像鑑賞による回復効果を調べた研究結果が発表されました。
1つ目の研究には、19歳から55歳の35名の健常者(男性23名、女性12名、平均年齢24.4歳)が参加しました。
最初に事故現場や蛇など人が不快に感じるような画像を提示してストレス負荷をかけた後、①白い花、②青空、③椅子の画像を別々に提示して、参加者の血圧の変化を記録しました。
2つ目の研究には、18歳から27歳の男性32名(平均年齢21.6歳)が参加しました。
女性は月経周期がストレスホルモンの反応性に影響するため、研究から除外しました。
最初に不快な画像を提示した後、①花の画像、②花のモザイク画像を別々に提示しました。その前と後に、参加者の唾液中のコルチゾール値(ストレスレベル)を測定しました。
結果、次のようなことがわかりました。
1つ目の研究では、花の画像に加え、青空の画像でも心理的な改善効果は認められましたが、身体に生じた生理的なストレス反応である血圧上昇を効率的に低減させたのは花の画像でした。
この結果は、花の画像を見ることで、ストレス後の心理的・生理的回復効果が得られることを示唆しています。
2つ目の研究では、花の画像を見た人のコルチゾール値が21%低下したのに対して、花のモザイク画像を見た人の値に変化はありませんでした。
この結果は、花の画像を見ることは、心理的ストレスのかかる出来事によって引き起こされるネガティブな感情や急性の生理的反応を抑えるのに有効であることが示唆しています。
また、日々に変化して人の目を引く生花は、花の画像よりもストレス反応の低減に効果的であることが推察されました。
花を日常生活に取り入れることで、ストレスを上手に軽減できる可能性があります。
出典:Science Direct
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0272494419304001?via%3Dihub
森林浴ができなくても、お部屋にお花を飾って眺めているだけでもストレス反応が緩和されるそうです。
確かに屋内にお花が飾られているとほっと心が和みますが、心理学的にも効果が証明されたなんて素敵です。
研究では画像よりも生花の方が効果的とのことですから、早速お花を買いに行かなくては。
とはいえ、研究では花の画像でも効果がありましたので、まずはこの記事のトップ写真でリラックして頂ければ‥。
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