「不安障害」の一般的な症状として、イライラする、集中力が低下する、眠れなくなる、拭い去ることができない過剰な不安感などがあり、社会生活に支障をきたしてしまいます。
研究者によると、そんな不安障害に苦しむ大学生がアメリカでは過去10年間で2倍に増えているそう。
サマリーをシェアします。
2019年、アメリカ カリフォルニア大学バークレー校ゴールドマン公共政策大学院のリチャード・シェフラー教授を筆頭著者とする、アメリカの大学生が直面している不安障害とその要因に関する予備調査の結果が発表されました。
研究者達は、全米の大学生を対象に実施される、健康状態に関する調査の中から、2008年から2018年までの幸福度データを分析しました。
さらに不安に悩んでいた30人のカリフォルニア大学バークレー校の学生に、本人の経済状況、デジタル機器の使用状況、不安な体験について45分間のインタビューを実施しました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、大学生の心の悩みで最も多いのは、不安とうつでした。
2、このうち明らかに増加傾向にある悩みが不安障害で、2009年にはうつ病を抜き、不安障害が相談件数でトップになりました。
3、うつ病などの他の精神疾患よりも、不安障害が最も速いペースで蔓延していることが分かりました。
4、不安障害の診断を受けたり治療を受けたりしたことがあると報告した全米の学生の割合は、2008年の10%から2018年には20%へと2倍に上昇していました。
5、この理由は、財政面でのプレッシャーとデジタル機器の使用によるものではないかと考えられます。
6、なぜならば、請求書の支払いに問題がある学生は、そうでない学生と比較して不安を感じる確率が約3倍になったからです。
7、さらに週に20時間以上携帯電話を使う人は、週に5時間使う人に比べて不安を感じる確率が53%高くなりました。
8、また不安感の強い学生は、そうではない学生と比較して、アルコールや薬物を乱用する可能性が3.2倍高くなり、自殺未遂の可能性も増加していました。
9、今日、大学生の間で最も差し迫った精神衛生上の問題は不安障害であり、現在の若い世代の高齢化に伴って、今後も不安障害の有病率は増加し続ける可能性が高いと言えます。
出典:Berkeley Institute for the Future of Young Americans
アメリカの大学生の20%が不安障害を訴えているということは、5人に一人の割合ということですから深刻です。
不安障害が急増している原因についてはまだ特定できていないそうですが、少なくとも問題が悪化していることは間違いありません。
子育て中の親としては、遠く離れた外国の出来事だとしても他人事ではいられませんね。
だって日本の子ども達だって、似たような問題を抱えていますから。
貧困やスマホ依存については日本でも社会問題になっていますが、不安障害が病気と気がつかないまま相談もせず、一人で悩みを抱え込んでいる若者もいることでしょう。
大学生ともなれば、家族よりも友人関係やキャンパス生活が中心となりますので、もし友達の前で無理して明るく振舞っていたりとすると、心の問題がわかりにくくなってしまいます。
この予備調査を率いたシェフラー教授は、今後若年層における不安の増加の原因を調査し、この問題が解決されない場合、アメリカの若年層や社会全体にどのような影響が及ぶかを予測し、この問題に取り組むための適切な対処法を大学に提案するのだそう。
将来ある若い世代の心の健康が守られるよう、願ってやみません。
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