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幸せも不幸も過大評価してしまう心の仕組み

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心理学用語で「インパクトバイアス」(Impact bias)というものがあります。

 

これは、将来の幸福度や不幸度を、実際よりも過大評価してしまう心理現象のことです。

 

この効果はプラス方向にもマイナス方向にも働きます。

 

研究によると、人は日常的に喜びや不愉快さの度合いを誤って過度に予測してしまうことがわかっています。

 

サマリーをシェアします。

 

2005年、アメリカ ヴァージニア大学のティモシー・D・ウィルソン博士を筆頭著者とする、インパクトバイアスについて検証した研究結果が発表されました。

 

研究者たちは、1ドル硬貨の付いたカードを用意して大学の図書館に赴き、学生に配布しました。

 

カードは2種類用意されていて、一つには簡単な挨拶のみ、もう一つにはこのようなことをする理由の説明が書かれていました。

 

しばらくしてから、別の研究を行うという名目で、彼らの気分を測定しました。

 

結果、次のようなことがわかりました。

 

1、簡単な挨拶だけのカードを受け取った人は(インパクトバイアスにより)、プレゼントをミステリアスに感じていました。

 

2、理由を説明されたカードを受け取った人は、プレゼントの意味を冷静に考えたので、受け取った瞬間の喜びや感動が失われていました。

 

3、結果、プレゼントをもらった理由をあまり知らない人の方が、知っている人よりも幸せな気分になっていました。

 

4、インパクトバイアスの特徴は「焦点主義」と「理由づけ」であると考えられます。

 

5、「焦点主義」とは、将来の出来事の影響について考えるとき、その1点だけに集中し、実際よりも過大に評価しようとする思考です。

 

6、実際には、将来には良きにつけ悪しきにつけ予想不可能な多くのイベントが起きるはずですが、そのことを忘れてしまうのです。

 

7、「意味探し」とは、自分に起きたことの意味を探し、納得することです。

 

8、突然の不運に見舞われた時、その根本的な理由を探し原因を特定できると、当初の不幸な気分が和らぎ始めます。

 

9、反対に、理由がわからない良い出来事が起きた時には、原因が判明すると喜びが半減します。

 

10、実は人間の感情は、現実世界の出来事に意外と影響されません。

 

11、しかし人間はその事実を理解しきれていないため、現実世界の出来事の将来への影響力を過大評価してしまうのです。

 

出典:Current Directions in Psychological Science

 

https://journals.sagepub.com/doi/10.1111/j.0963-7214.2005.00355.x

 

 

「インパクトバイアス」は、無意識のうちに働く心理現象なので、身近な所で起きています。

 

一般的にスポーツファンは、お気に入りのチームが重要な試合に勝ったときの気分を想像するとき、「焦点主義」により試合のことだけに集中し他のことは考えないので、喜びの強さや持続期間を過大評価するため、実際にチームが勝った時には期待していたほど満足していないそう。

 

また、重要な試験で思いがけずA判定を取った学生は、最初は大喜びしますが「意味探し」により背景を理解する事で、その出来事に感情的に順応するため、その出来事が奇跡ではなく自然なことに思われて、嬉しさも減ります。

 

研究により「インパクトバイアス」は、人間がトラウマ的な出来事に遭遇した際に、自ら幸福感を想像したり、作り出したりすることで心を守るためのシステムと考えられています。

 

例えば私の離婚当初、両親はショックを受け「家系始まって以来の不祥事で、世間様に顔向けができない」と落胆していたのですが、数ヶ月後には明るく孫と戯れていました。

 

離婚という出来事そのものに集中すると悲しみが募ってしまいますが、時間の経過とともに「離婚にも意味があったんだ」と納得できると、心の安定が復活するようです。

 

こういう心の仕組みを理解していれば、悪い出来事があったときにも将来を悲観しすぎずに済むかもしれません。

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