日々に満足して生きるのって素敵ですが、より良くなっている未来をイメージするのも大切だとされています。
ですが実際のところ、それって未来の幸福感を高めるのでしょうか?
可能であれば未来の自分に聞いてみたいものですが、実際に10年の歳月をかけて幸福感を追跡調査した研究があります。
サマリーをシェアします。
2019年、アメリカ カリフォルニア大学ロサンゼルス校のジョセフ・S・レイフ氏を筆頭著者とする、未来の自分に対する認識が、10年後の幸福感とどのように関連するかを調べた研究結果が発表されました。
研究には20歳から75歳までの4,963人(女性2,630人、男性2,333人、平均年齢46.5歳)が参加しました。
1995年の時点で参加者に次の質問をしました。
「あなたは今、どのような性格で、どのような生活を送っていますか?」
「今から10年後のあなたは、どのような性格になっていて、どのような生活を送っていると思いますか?」
また、「知恵」「行動力」「学習意欲」「思いやりと知識」などについても質問しました。
そして10年後の2005年に再びインタビューを行い、この10年間に経験した出来事と、現在の幸福度について質問しました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、「10年後も自分は今とあまり変わらない」と考えていた人は、10年後に最も幸福度が高くなりました。
2、「10年後も衰えが少ない」「10年後もあまり向上が見られない」と予測した人も、10年後の生活に満足していることが多くなりました。
3、一方、「10年後には自分は今より衰えている」「10年後には自分は今より向上している」と考えていた人は、どちらも10年後には人生に対する満足度が低くなりました。
4、10年後の自分が、良くも悪くも今と大きくかけ離れていると感じれば感じるほど、将来の幸福度は低下していました。
5、10年後も自分は変わらないと予測した人は、将来の自分とのつながりを感じやすく、健康状態や経済状況に気を配っていたため、人生の喜びや満足を長引かせることにつながっていました。
6、それに対して、自分が変わると予測した人は、自分を大切にすることができませんでした。
出典:Social Psychological and Personality Science
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1948550619843931
研究では10年後の自分のことを、衰えていると思うか、向上していると思うかは関係なくて、将来的な変化が大きいと予想していた人ほど、10年後の幸福度が低下していたそう。
「10年後には今より向上している」と考えている人の未来の満足度が低いなんて、そこだけ聞くと納得のゆかない研究結果です。
研究者によれば、今から10年後の予想を答えてもらうのは、現在の自分が未来の自分と、どれだけ深いつながりを感じられているかを試すテストなのだそう。
10年後の自分も変わらないと思っていれば、今の延長線上にある未来の自分がイメージしやすいため、自然と自分を大切に丁寧に扱うようになります。
実際、日々の食事や睡眠に気を使い、円満な人間関係を長く築いてゆくには、長期的な計画を立てて、地道にコツコツ継続しなくてはなりません。
実はそれこそが、未来の自分とちゃんとつながれている証拠かも。
夢を追いかけるのは何歳からだって素敵ですが、将来せっかく夢が手に入っても、自身の健康や人間関係に問題が生じていたら楽しめず、不満が募ってしまいそう。
親として子どもの幸せを願うなら、分かりやすい成功だけが幸せへの道ではなくて、自分の健康や良い人間関係こそが、未来の幸せの土台であることも伝えたいですね。
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