仕事に育児に全力投球の日々は、やりがいがあるとはいえ忙しく、人生の意味を考える暇もありません。
一般に、人生における意味をより多く見つけているほど満足感は大きくなり、逆に、人生における意味を探している場合は疲れ切っている傾向があるそうです。
研究によれば、今は仕事に育児に忙しい現役世代にも、いずれ人生の意味を問い直すタイミングが訪れるそう。
サマリーをシェアします。
2019年、アメリカ カリフォルニア大学のアワイス・アフタブ博士を筆頭著者とする、人生における意味の発見と探求、身体的&精神的な健康、および認知機能との関係を年代ごとに調べた研究結果が発表されました。
研究では、カリフォルニア州サンディエゴ郡に住む地域住民1,042名のデータを1年半かけて収集しました。
彼らに「人生における意味を見つけている」「人生における意味を探している」などの項目を尋ね、それがどれだけ自分に当てはまるか評価してもらいました。
加えて健康調査と面接を行い、身体の健康度、精神的な満足度、認知機能を測定しました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、人が人生の意味を最も積極的に探求する時期には2つの年代的なピークがありました。
2、1つ目は20代で、キャリアや人間関係を模索し、自分自身が何者であるかについて確信が持てず、人生の意味を最も積極的に見つけようとする時期です。
3、20代は、比較的幸福を感じにくい時期であり、憂鬱や不安の感情がピークに達することもあります。
4、30代、40代、50代になると、人間関係が安定してきて、結婚して家庭を持ったり、キャリアが安定してきたりするので人生の意味が増えていきます。
5、この時期は、一般的に(常にではありませんが)安定した時期であり、人々は落ち着きを取り戻し、自分の人生の意味が見つかるため幸福を感じやすく、人生の意味を探求する気持ちが弱まります。
6、2つ目は60代で、定年退職が迫り、家族や友人が亡くなり始め、自身の健康上の問題も出てきて、自分のアイデンティティを失い始めます。
7、60代になると状況が変化し、かつて持っていた人生の意味が変わってしまうため、再び人生の新たな意味を探し始めるのです。
8、多くの人は、人生の意味や目的を哲学的な観点から考えますが、人生の意味を見つけているかどうかは、より良い健康状態や精神的な満足度、そしておそらく長寿と関連しています。
9、人生の意味を見つけている人は、そうでない人よりも幸せで健康的なのです。
出典:Journal of Clinical Psychiatry
つまり、今の人生に意味を見出すと幸せになれますが、人生の意味を探し回るのはよろしくないということ。
人生の意味を探そうとすればするほど、かえって見つけられない傾向があるそうですから困ります。
今、子どもが人生における意味を見つけられず、不機嫌で不安定だとしても、それは20代ではありふれたことであり、時が解決するかもしれないというのは、ちょっと希望が持てますね。
親としてハッとしたのは、子どもの年齢は「あと○年で成人式」のように指折りかぞえているのに、自分の年齢は「あと○年で定年」などと、普段は意識していないこと。
昔と違って今は老後の寿命が延びているので、子育てが終わった先の自分の人生の意味も考えておかないと、将来子どものお荷物になりかねません。
子育てという人生の大きな意味が変化する時に備え、60代になる前に人生の新しい意味を探したいものです。
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