一般的に、人は加齢によって身体機能が衰えると、それに伴ってストレスも大きくなるとされています。
ところが、この一般論が当てはまらないタイプがいることが研究で明らかになりました。
サマリーをシェアします。
2021年、ドイツ ハイデルベルク大学のマーカス・ヴェットシュタイン博士を筆頭著者とする、若さの感じ方がストレスを和らげる心のゆとりとなっていることを調べた研究結果が発表されました。
研究者達は、ドイツ高齢化調査に参加した5,039人(登録時の平均年齢64歳、登録時の年齢範囲40歳〜95歳)を、2014年から2017年までの3年間追跡調査しました。
研究者達は、参加者が自覚しているストレスの程度が健康に及ぼす影響を検討しました。
また参加者に、「自分を何歳だと感じているか?」との質問に答えてもらい、実際の年齢よりも自分を若いと感じていることに、ストレスを緩和する効果が存在するのかを調査しました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、本人の自覚しているストレスが強ければ強いほど、健康レベルが低下する速度が速くなることが明らかになりました。
2、一方、自覚している年齢が実際より若い人では、健康レベルの低下速度が遅く、本人の自覚しているストレスの強さと健康レベルとの間に有意な関連が認めらませんでした。
3、これは、自覚している年齢が実際より若いと、ストレスによるダメージを和らげる効果が存在することを示唆しています。
4、自覚しているストレスは、さまざまな経路を介して健康レベルにダメージを与えると考えられています。
5、それに対して、自覚している年齢が実際より若いことは、ストレスによる影響を抑制し、健康上のメリットを生み出しているのかもしれません。
6、私たちの社会では、若々しさが非常に重視されていますが、それが人々に悪い影響を与えることがあります。
7、人は若々しさを求めますから、年齢を重ねることで、必然的に自分の認知能力に自信が持てなくなってしまうのです。
8、人が若さを保ちたい一心で、新しいトレンドや元気が出る活動を続けて、若さの感覚を維持しようとすることにはメリットがあるかもしれません。
9、とはいえ、自分自身を極端に若いと思い込もうとするのは、あまりに楽観的すぎて問題があると言えます。
出典:Psychology and Aging
https://doi.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fpag0000608
若いと思い込むだけで、ストレス耐性が高まるなんて、驚きました。
私はこれまで「自分が自覚する年齢」なんて、大して役に立たないと思っていました。
見た目の若さならともかく、心で思う若さなんて誰に見えるわけでもありませんので。
ところが、心で思う年齢が、健康レベル、寿命、幸福感と関連があることが次第にわかってきているのですから、これはもう無視できなくなってきました。
見た目って自分ではどうにもならない所もありますが、現実がどうあれ心で思うことは、自在です。
研究によれば、自分自身のことを実年齢より若く思えて、自分を好きでいられたら、計り知れないメリットがもたらされるのかもしれないとのこと。
心の中で年齢を若く保つ方法を考えた時、子育てしていて良かったと思えてきます。
エンドレスに続く育児は本当に大変ですが、毎日子どもからの若さパワーを浴びていると思い込めば、自分の若さを心から信じられそうですね。
自分を大切にしつつ子ども達を愛し、子ども達から受け取る優しさを周りの人たちにも伝えてゆくことが、瑞々しい心の若さの秘訣になりそうな気がします。
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