仕事をしながら家事も育児も回していこうとすると、悪戦苦闘の毎日になります。
家事の効率を良くするために、あれもこれも同時にやろうと知恵を絞り、かえってグッタリすることも。
そんな毎日の家事が、脳の健康に有益との研究があるのです。
サマリーをシェアします。
2021年、カナダ ロットマン研究所の運動生理学者であるノア・D・コブリンスキー氏を筆頭著者とする、家庭内での身体活動と脳の健康について調べた研究結果が発表されました。
研究には、コミュニティに住む66人(67歳〜75歳)の健康な高齢者が参加しました。
参加者医療機関で健康検査、認知機能テスト、脳構造画像診断を受けました。
また、片付け、掃除、食事の準備と片付け、買い物、庭仕事、家の修理、介護などの家事に費やした時間について尋ねました。
さらに、ストレッチ、バランス運動、ウォーキング、ダンス、水泳、ゴルフなどの運動に費やした時間も回答してもらいました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、運動量に関わらず、家事に費やす時間が長い人ほど、脳の容量が大きいことがわかりました。
2、それは、記憶と学習に不可欠である海馬と、思考の多くの分野に関わる前頭葉において見られました。
3、これは認知機能の健康状態が良好であることを示しています。
4、その理由としては、多くの家事を要領よくこなすには頭を使うため、脳の新しい神経接続を作るのを促している可能性が考えられます。
5、また座りっぱなしの生活は、脳の健康状態の悪化につながりますが、家事により多くの時間を費やしている高齢者は、座っている時間が少なくなっていました。
6、そのため家事が、ウォーキングなどの有酸素運動と同じように、心臓や血管に良い影響を及ぼしている可能性があります。
7、運動が脳に良い影響を与えることはすでに知られていますが、今回の研究で、家事にも同じことが言える可能性が示唆されました。
出典:BMC Geriatrics
https://bmcgeriatr.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12877-021-02054-8
つまり家事は、脳みそと身体の両方を同時に鍛えられる素晴らしいエクササイズということ。
高齢者を対象とした研究ですが、家事にこんな隠れた効能があったなんて得した気分になりますね。
確かに、家にいるとあれもこれも気になって、ちょこまかと動いてしまうものですが、そんな細切れの家事時間をトータルで考えると、意外な運動量と言えるのかもしれません。
それに、家事を終えると頭も疲れていますので、知らず知らずのうちに脳トレになっていたと言わても納得できます。
毎日の家事を、「面倒な雑用」と思って嫌々やっていると、それだけで消耗してしまいますが、「老後のための健康貯金」くらいのポジティブな意味づけをしておくと、それだけで楽しくなりますね。
家事を頑張って「ああ、疲れた」と思うのはもう止めて、まるでウォーキングや筋トレをした後のように「今日もこんなに体を動かせた」と、プラスに考えたいものです。
↓いいね を押していただけますと励みになります。