一般的に、同世代のコミュニケーションに比べて、異なる世代間のコミュニケーションって難しいと言われています。
生きてきた時代も価値観も違うので、些細なボタンの掛け違いで関係がギクシャクすることも…。
ところがそれ以外の、相手の気持ちを察する注意力にまでも、世代間で差があることが研究でわかっています。
サマリーをシェアします。
2021年 イギリス ケント大学のマルティナ・デ・リロ氏を筆頭著者とする、相手の気持ちを察する能力が生涯にわたってどのように発達するかを調べた研究結果が発表されました。
研究には、思春期の子ども(10~19歳)、成人(20~40歳)、高齢者(60~80歳)が参加しました。
彼らに対面で話をしたり、人通りの多い場所を歩きながら会話をしたりしてもらいました。
その際、視線の動きを捉える、アイトラッキングメガネを装着しました。
対面での会話と移動中の会話で、相手の顔を見ている時間を調べ、それを世代ごとに比較しました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、思春期の子どもと高齢者は、対面時の会話中に相手の顔を見る時間が短くなっていました。
2、また思春期の子どもと高齢層は、歩行時の会話中に相手を見る回数が少なくなっていました。
3、顔をあまり見ないということは、それにより、相手の感情、意図、願望、信念などを読み取りにくくなるということです。
4、つまり、相手の表情、声のトーンなどを見落とすことで、相手の精神状態を判断するための情報が少なくなるのです。
5、当然、他人の立場に立つことも、共感することも難しくなりますが、この2つは人との交流を楽しむためには不可欠なスキルです。
6、世代ごとの相手の気持ちを読み取る能力の発達の違いが、思春期の子どもや高齢者の心理に影響を与えている可能性があります。
7、このギャップに配慮することが、日常生活における異世代間の交流を円滑にする上で重要かもしれません。
出典:Nature Human Behaviour
https://www.nature.com/articles/s41562-021-01113-9
異世代コミュニケーションが上手くいかないのは、感情を読む注意力の差が影響している可能性があるとのこと。
私のような成人世代にとって、相手の顔の表情から真意や願望を読み取るのは当たり前のことですが、そんな常識が、思春期の子どもたちや高齢者世代には通用しなかったのかも。
そういえば、未成年同士の喧嘩って日常茶飯事ですし、高齢者の孤立や孤独は社会問題になっています。
私たち成年世代は、空気を読みあうなんて当たり前なので、つい子どもにも親世代にも、自分世代と同じレベルを期待してしまいますが、もう少し配慮すべきだったかも。
思春期の子どもたちは、仲間との人間関係が発展する中で、様々な経験を積み学んでゆきます。
考え方も嗜好も急速に変化していく時期なので、葛藤するのも仕方ありませんね。
私自身の学生時代を思い返してみても、同級生同士での言い争いや仲直りを繰り返していて、幼かったです。
これまで、子どもは自分と社会的注意力の違う世代だということに気づかずに、親の意見を熱く語っていたかと思うと切ないです。
これからは、親子で込み入った話をする時こそ、集中できる場所と時間を選ぶようにします。
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