日本は世界有数の長寿国とされますが、健康や寿命は、本人の生活習慣によって将来の差となって現れます。
今の生活習慣を継続したら、数十年後どんな未来が待っているのか?
想像しようとしてもなかなかピンと来ませんが、それぞれの生活習慣を継続した場合の寿命を追跡調査した研究があります。
サマリーをシェアします。
2020年、フィンランド国立保健福祉研究所のトミー・ハルカネン博士を筆頭著者とする、生活習慣が人の平均寿命に与えている影響を調べた研究結果が発表されました。
この研究は、フィンランド統計局の統計を用いて無作為に抽出された、25歳〜74歳の38,549人のフィンランド人を対象に行われました。
彼らの1987年〜2007年までの健康診断調査結果を追跡調査しました。
追跡調査の期間中に亡くなる人もいたため、平均追跡調査期間は16年となりました。
研究者達は、これまで長寿の予測因子とされてきた多数のリスク因子を用いたモデルを用いて、対象者の総死亡率を分析しました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、寿命を延ばす主な生活習慣は、禁煙すること、糖尿病を避けること、ストレスを減らすことでした。
2、糖尿病は、定期的な運動、健康的な食事、十分な睡眠で自然に予防することができます。
3、睡眠不足などの生活の質や、肥満などの生活習慣上の危険因子は、すべて寿命に影響していました。
4、30歳時点の男性では、喫煙が6.6年、糖尿病が6.5年、深刻なストレスが2.8年、寿命を縮めていました。
5、30歳時点の女性では、喫煙が5.5年、糖尿病が5.3年、深刻なストレスが2.3年、寿命を縮めていました。
6、毎日野菜を食べると0.9年、毎日果物やベリー類を食べると1.4年、寿命が延びました。
7、疾病リスク要因となる習慣ごとの、死亡年齢の推定値を提供することで、生活改善のメリットを伝え、生活改善の必要性を算出する方法が開発できると考えられます。
出典:British Medical Journal
https://bmjopen.bmj.com/content/10/3/e033741
具体的にどんな生活習慣で寿命が何年変動するのか?
ハッキリ数字で示されると、なんだか身が引き締まります。
生活習慣を調べると、その人の寿命が予想できてしまうとは驚きです。
結局のところ、寿命を延ばしたいなら地道な毎日の習慣の積み重ねが大事ということですね。
寿命を伸ばすための良い習慣、良くない習慣は私たち一般人でも知っている内容ばかりです。
そもそもこの研究の目的は、何をすれば寿命が伸びるか?を調べることではありません。
実際に、良い習慣、良くない習慣を長年継続した結果、余命にどれだけの差がでているのか?
その調査結果を分析し、数値化することで、私たちが生活習慣を改善しようとするモチベーションを高める役に立てることです。
私自身、特に睡眠時間を削りがちなので、このデータを見て反省しました。
私の会社でも年1回、定期健康診断を実施していますが、健診結果の数値を見ても、その場で一喜一憂して終わってしまう人が殆どです。
悪い数値にショックを受けても「よし、今日から禁煙するぞ!」と、変われる人は稀です。
将来は、健診結果にAIが分析した予想寿命が記載される時代が来るのでしょうか?
もしそうなったなら、ショッキングではありますが、「もう歳だからなんて、言ってられない!」と、発奮材料になればいいですね。
なぜなら研究によれば、何歳からでも、生活習慣を改善すればその時点からの継続効果が発生するから。
大事なのは習慣の継続期間なので、改善が早ければ早いほど、寿命の伸びが大きくなります。
病気になってから治療するのではなく、そもそも病気になりにくい生活習慣の継続について、日ごろから気を配りたいものです。
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