ネット上に大量の情報が氾濫する現代社会において、不正確な情報や誤った情報が急速に拡散し、社会を混乱させることがあります。
悪意からのデマ情報だけでなく、そんなニセ情報に騙されてしまった人が、善意から誤情報を拡めてしまうことも…。
正確性が確保できない場合には安易に情報を投稿・拡散しないことが大切ですが、では一体、そんな嘘の情報を上手に見抜くにはどうすれば良いのでしょう?
心理学では、フェイクニュースに騙されにくい人の研究がなされています。
サマリーをシェアします。
2021年、アメリカ ミシガン大学のステファニー・プレストン教授を筆頭著者とする、フェイクニュースに騙されやすい人と、嘘を見抜くのが上手い人の心理的要因を調べた研究結果が発表されました。
研究はイギリスで行われ、17歳から56歳の87 名(女性55名、男性32名)が参加しました。
参加者にまず、心の知能指数(=EQ)を測定するテストを受けてもらいました。
心の知能指数とは、他人の気持ちを感知したり、自分の感情の揺れに気づいて、それを上手にコントロールしたり表現したりできる知能を測る指数のことです。
次に、典型的なFacebookの投稿に似せた6つのニュース(真実のニュース3つと、捏造されたニュース3つ)を見せ、情報の真偽を見分けてもらいました。
全ての課題が終了した後に、参加者全員が実験報告書を受け取り、どのニュースが本物でどれが偽物だったのかを確認しました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、心の知能指数(=EQ)の低い人は、フェイクニュースに騙されやすい傾向がありました。
2、フェイクニュースを信じた人達のコメントは、次のようなものでした。
「ウチの子も同じ立場なので、完全に理解できます。」
「グラフやデータが含まれているので信頼できます。」
「私の個人的体験を裏付けるような内容なので正しいです。」
3、逆に、心の知能指数(=EQ)の高い人は、フェイクニュースを見抜くことに長けていました。
4、彼らは、フェイクニュースの典型的な手口である、感情を揺さぶりはするものの信用できる根拠に乏しい情報を、無視する傾向がありました。
5、フェイクニュースの嘘を見抜いた人達のコメントは、次のようなものでした。
「過度に感情的な表現が含まれています。」
「裏付けとなるデータや証拠が見あたりません。」
「情報源が科学者や政府などの公式なものではありません。」
6、心の知能指数(EQ)の高い人は、その時々の感情に振り回されないため、フェイクニュースの特徴である感情的な内容を見抜くことができ、コンテンツの信憑性をより効果的に評価することができると考えられます。
出典:PLOS ONE
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0246757
つまり、フェイクニュースに騙されないためには、心の知能指数(EQ)が鍵ということ。
心の知能指数は訓練で高めることができるため、これを鍛えることで、人々はニュースの真偽をより正確に判断できるようになると言えます。
私たちの子ども世代が大人になる頃には、勉強が得意で知識が沢山あることと同じくらい、心の知能指数の高さが重視されるかもしれませんね。
↓いいね を押していただけますと励みになります。