よく「空腹時にスーパーへ食料品の買い出しに行ってはいけない。食欲に負けてつい買いすぎてしまうから。」などと言われますし、実際その通りな気がします。
ところが研究によれば、お腹が空いている時に判断を誤ってしまうのは、食物だけに限らないそうです。
サマリーをシェアします。
2019年、イギリス ダンディー大学のジョーダン・スクリンカ氏と&ベンジャミン・T・ヴィンセント博士よる、空腹な状態と空腹ではない状態とで、判断にどのような変化が起きるかを調べた研究結果が発表されました。
研究には50人(女性28名、男性22名、平均年齢21.7才)の大学生が参加しました。
空腹時(食後10時間絶食後)と、空腹ではない時(食後2時間経過後)との2回に分けて、食物(チョコレート)と食物以外(お金、音楽ダウンロード)を報酬として与えた場合、時間の経過によって、報酬の価値がどれだけ割り引かれるかを調べました。
時間割引率という考え方があります。
多くの人が、現在すぐにもらえる報酬と比較して、未来にもらえる報酬の価値を低く考える性質があるとされており、時間の経過によって割り引かれる価値の下落率のことを示します。
目先のことしか考えないせっかちな人ほど、今すぐにもらえる小さい報酬を選ぶとされています。
長期的な計画を立てて自己統制できる人ほど、将来もらえる大きい報酬を選ぶとされています。
結果、次のことがわかりました。
1、チョコレート数を2倍にするために、お腹が空いていない人は受け取りを35日間待つことができましたが、空腹な人は受け取りを3日間しか待つことができませんでした。
2、お金の額を2倍にするために、お腹が空いていない人は受け取りを90.3日間待つことができましたが、空腹な人は受け取りを40.2日間しか待つことができませんでした。
3、音楽のダウンロード数を2倍にするために、お腹が空いていない人は受け取りを39.7日間待つことができましたが、空腹な人は受け取りを12.4日間しか待つことができませんでした。
4、空腹が食物に及ぼす時間割引率の増加は大きいものですが、食物と全く関係のない報酬に対しても、食物ほどではないものの、時間割引率の増加が認められました。
出典:Psychonomic Bulletin & Review
https://link.springer.com/article/10.3758/s13423-019-01655-0
空腹時、行列で1時間待ちの人気店のラーメンと、すぐ手に入るコンビニのおにぎりという選択肢があったら?
ラーメンよりおにぎりを選ぶのが自然です。
ところが研究では、食物とは直接関係ない選択肢であっても、空腹時には報酬が低くて期間の短い方を選ぶ率が高くなったということです。
つまり、空腹時に人は短絡的になりやすく、待つことでより多くを得られるチャンスを無視しやすくなります。
結果的に、人間関係や消費行動で判断ミスをする確率も高くなる可能性があります。
なぜ空腹が、食べ物以外の判断にも影響するのか?
この研究では、その理由までは明らかになりませんでしたが、飢餓状態を生き延びてきた、私たちの先祖達の影響があるのかもしれません。
とはいえ空腹は私達にとってありふれた日常で、美容のためにダイエットしたり、朝寝坊して朝食を抜いたりすることは珍しくありません。
そんな空腹が私たちの様々な意思決定に影響を及ぼしているかもしれないとは驚きです。
つまり。。。
子どもと将来や進路について話し合う際には、まず胃袋を満たすのが先ということですね!
成長期で食べ盛りの子ども達って、たいていお腹を空かせているものだから。
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