心理学では、人間が目の前のことに完全に集中している状態のことを「フロー状態」と呼びます。
「フロー状態」になると、時間の経過を早く感じ、ワクワク感が増すとされています。
よくスポーツ選手が「ゾーンに入る」と言いますが、同じことだと考えられていますね。
こうした状態は偶然の産物ではなく、意図的に作り出すことができるそうです。
研究のサマリーをシェアします。
2018年、アメリカ カリフォルニア大学リバーサイド校のカイラ・ランキン教授を筆頭著者とする、フローを誘発する行動の効果を調べた研究結果が発表されました。
研究には290名の学生が参加しました。
参加者全員が写真を撮られ、その写真が魅力的などうかを評価される間、待たされました。
当然ながら参加者は緊張しますが、その間、テトリスゲームで時間を潰してもらいました。
ゲームの難易度は以下のように調整されていました。
A:簡単なレベル
B:難しいレベル
C:自分に合わせたレベル
結果、次のようなことがわかりました。
1、自分に合わせたレベルでゲームをプレイしていた参加者は、不確定要素の多い待ち時間を良い気分で過ごすことができました。
2、彼らは、プレイしていたゲームのレベルが自分にとって最適であったため、フロー状態になったと考えられます。
3、フロー状態は偶然に幸福感と一致するのではなく、フロー状態そのものが、幸福感を引き起こすことが明らかになりました。
4、ゲームの難易度が高いほど、参加者の気分が良くなり、ストレスが軽減し、退屈が減少していました。
5、その中でも最もフロー状態になりやすいのは、難易度が自分に合っていて、かつ、少しだけ難しいレベルのゲームをプレイしている時でした。
6、フロー状態になるには、やりすぎない程度に挑戦すること、明確で達成可能な目標を持つこと、途中で自分の達成状態を確認できることが必要と言えます。
出典:Emotion
https://doi.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Femo0000479
この研究ではゲームを用いていますが、ゲームにこだわる必要はありません。
ゲームの他にもフロー状態になれる活動は沢山あります。
興味を惹かれ、スキルを今よりちょっと伸ばせる難易度で、目的のあるものなら何でも良いのです。
その絶妙なバランスが大切ということ。
自分に当てはめて考えてみても、仕事で何の役に立つのか全くわからない、単調なデータの入力作業をしている時には、確かに時間を長く感じるものです。
その反対に、少し難しめだけれど興味のあるジャンルの書籍を読んでいると、あっという間に時間が経っていてびっくりします。
これはおそらく、子どもにとっても同じこと。
子どもが勉強嫌いになってしまう理由って、難易度が合っていないだけかもしれませんね。
「勉強しなさい」って子どもに説教したり、ご褒美で釣ったりするよりも、本人に合っているレベルの教材を探すほうが、ずっと効率が良さそうです。
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